『三姉妹』コメント(敬称略・順不同)
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なんて痛い、なんて優しい世界なのだろう。
ヒスクの絶望、ミヨンの意地、ミオクの苦悩。
一つ一つが、わたしのものだと感じた。これは、
わたしの物語なのだと。だから、彼女たちの闘いに、
彼女たちが勝ち取ったものに、ラストシーンの美しさに
胸の震えが止まらなかった。
—あさのあつこ(作家)
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悲惨な状況である。最悪の家族である。
三姉妹は乗り越える。
それぞれの存在を肯定するために乗り越えるしかないのである。
俳優たちの物語への踏み込み方がとても清々しい。
—渡辺真起子(俳優)
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三人の女優がとにかくすごい。
三人の演技に引きこまれすぎて彼女たちはもう他人とは思えず、
どうか世界が彼女たちにも私たちにも生きやすい場所であるようにと、
真剣に祈ってしまう。
—角田光代(作家)
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おなかいっぱい、消化できないかもと思った。それほど切実。
だけど見てから日が経つにつれ、豊かな後味が蘇ってきた。それほど繊細。
そして、過去に体当たりでぶつかる三人三様の笑顔に励まされる。それほど強靭。
—斎藤真理子(翻訳家)
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土俵際ぎりぎりの女たち。
その3人が、血縁である。みんな平然、みんな嘘。
この胃の痛むような切迫感と、目の離せない面白さは、
向田邦子の『阿修羅のごとく』のごとくか。
苛烈、厄介、でも痛快。
—西川美和(映画監督)
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これまでどんな物語でも出会わなかった場面の数々に頭がクラクラし、身体が熱くなった。
まだ見ぬ妹たちに幸せな未来を約束するためにも、今戦おう――。
『三姉妹』はこれからも作られていく無数の姉妹の物語たちを、
幸福な光で照らしていくにちがいないだろう。
—柚木麻子(作家)
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目をそむけたいほどヒリヒリ痛いのに、クスクス笑いが止まらないのは、
まぎれもなく監督と演者のセンスと力量。
不幸を不幸と、悲しみを悲しみと、怒りを怒りとしてしか描かないことの幼稚さを突かれてドキッとさせられます。
—山内マリコ(作家)
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強く必要としているものが
愛そのものであるのだから たまらないのだ。
それぞれが強く欲することは 本当はもっと温かいはずだと
信じ込んでいるから たまらないのだ。
―YOU (タレント)
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三姉妹の姿が美しくも恐ろしくもあり、震えるように泣いた。
涙が乾いて浮かんできたのは彼女たちの堂々とした顔、顔、顔。
自分を生きる。生半可じゃない。
―占部房子(俳優)
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三姉妹を演じる女優陣の厚みある確かな人物像に惹き込まれました!
人は前を向き生きながら、ふと振り返れば、同じ時間を生き、手を繋いで走ってくれた人の存在に心満たされます。
過去に立ち向かった先で、溢れ出す三姉妹の涙に、心が揺さぶられました。
―和田光沙(俳優)
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一人っ子の私は、三姉妹に憧れた。
映画の途中、自分の中にある三姉妹の幻想が消えた。
終盤には、新しい憧れが生まれた気がした。
幼い頃の記憶はどうしてあんなにも鮮明で深いのか。
それを限りなく近くで分かち合えて再構築できるかもしれない存在がいることが羨ましい。
―小谷実由(モデル)
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ストレートなカタルシスがあった。
誕生会での次女のあの叫びを、
自分も叫びたかった人は、けっこうな数いるにちがいない。
とくに家長権力が強大だった時代に子供時代を送った中高年には。
叫びたかった相手はすでに鬼籍に入っていたり、
たとえ、叫べていたとしても、
相手は自分の怒りを理解できなかったのが、現実の大半である。
だからこそ、あのシーンは立ち上がりたいほどのカタルシスだった。
―姫野カオルコ(作家)
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序盤、いきなり突き飛ばされて、
中盤、さらに蹴り飛ばされて、
終盤、それも最後の最後で感動させられて、ノックアウト。
韓国映画の底力を見せつけらました。
―金原瑞人(翻訳家)
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澱(ルビ:おり)となって暗闇に沈むのか
喚き散らして呪縛を解くのか
家族という狂おしいかたちに焦げ付く
恐ろしいほど身近な話。
宿命を乗り越えて
お互いを抱きしめる姿に
涙が溢れます・・。
静かでまっすぐな
姉妹愛をみました。
―堀井美香(フリーアナウンサー)
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笑ってばっかりの長女の顔も、凛々しい次女の顔も、酔ってばかりの三女の顔も、
過去の、あの日のことを知ってからは全く違って見えました。
苦しいのか愛しいのかわからなくなりました。生きていて、心がある、作品です。
―臼田あさ美(俳優)
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3人がそれぞれ悩みを抱え、
3人がそれぞれ大丈夫なふりをして生きる。
同性だからこそ、プライドがあり、
ほんとは甘えたいのに、気になるのに、頼りたいのに、頼ってほしいのに、大丈夫なふりをしてしまう。
わたし自身も三姉妹。
姉と妹に会って話がしたくなった。。
痛くて滑稽でとても愛おしい映画。
―大島葉子(俳優)
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「きれい」とはほど遠いけれどこれは「愛の物語」だ。
三姉妹はそれぞれ乱暴で、冷酷で、卑屈で、愛し方も不器用。
だけど懸命に生きていて、時々笑ってしまいながら大好きになった。
家族にかけられた呪いにもがき、打ち勝ち、前に進もうとする素晴らしい映画。
―深緑野分(作家)
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少しも素敵な人にはなれないし、やることなすこと、裏目に出てしまう。
それでも、そんな人たちにだけ、見える光があるのだ。
そう思わせてくれる最高の映画でした。
―近藤史恵(作家)
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アルコールに溺れる厳格なクリスチャンの父と、その父を妄信的に支える母により、
肉体的、精神的に傷つけられ、成長してもなお苦しみから抜けられない女たちの
表情が、叫びが、過去を正面から受け止め、ともに生きていく未来にまっすぐ繋がっている。
悲しいけれど暖かい。生きていてくれてよかった。そんな三人の物語。
―村井理子(翻訳家)
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全員、やることがいちいち陰湿。なのにうっすら笑える。
いや、笑ってないとやってられない気持ちにさせられる。
子供を信じている、いや、信じざるを得ないんだ、誰にも守られなかった元・子供である三姉妹たちは。
ならば私も、この映画が示す、世界へのか細い希望を信じたい。
―大九明子(映画監督)
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三姉妹、もつれる人生、格闘中。
次世代へと続く彼女達の足跡は、
痛々しく、清々しく、とびきりビビッド。
—中村優子(女優)
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なぜこんなに三姉妹と同じように苦しいのか。
私の怒りなのか。
ひっそりと泣いていたかつての母の苦しみなのか。
もがき続ける三姉妹の演技の凄み、体現している役者の覚悟にずっと心で拍手を送っていました。
―安藤玉恵(俳優)