『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』の主役はイ・ソンギュンとIUである。この2人が、親子ほど年が離れた男女として登場する。甘いラブロマンスはない。あるのは、見る人の人生を救ってくれるヒューマン・ストーリーだ。
卓越した物語
イ・ソンギュンが演じるのは、構造エンジニアのパク・ドンフンだ。真面目な性格だが、悩みが多く常に沈んでいる。
そんな彼が勤める企業の派遣社員になったのが、IUが演じるイ・ジアンだ。彼女は不幸な境遇に置かれたままで、借金も背負っている。それゆえにお金で社内工作を請け負うようになり、ドンフンの携帯電話を盗聴する。
それを通してジアンは、ドンフンの私生活を詳しく知るようになり、やがて彼への共感を抱く……。
こうして物語は重層的に描かれていくが、イ・ソンギュンとIUの演技がすばらしい。それによって、主人公2人のキャラクターに引き込まれる。
さらに見ていて感心したのは、描かれているエピソードの多彩さだ。
ポイントになるのは、ドンフンが巻き込まれている社内抗争だ。
社長派と反社長派が激しく対立し、その中でドンフンとジアンが巻き込まれていく。非常にスリリングな展開の連続だ。
その一方で、ドンフンの家族愛と地元愛も細かく描かれる。
ドンフンは三兄弟の二番目で、長男と三男ととても仲が良くていつも一緒に飲み歩いている。
そんな彼らが行く地元の酒場に集ってくる人々が興味深い。誰もが人間味があって、人生の深みを感じさせてくれる。
このように、『マイ・ディア・ミスター』では社内抗争とドンフンの私生活が絶妙にリンクして、そこでジアンが変わってくる。その変化がこのドラマのツボになっている。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
提供:ロコレhttp://syukakusha.com/
『マイ・ディア・ミスター』は夫婦のあり方についても考えさせられる良作
『マイ・ディア・ミスター』ヒロインとの悲しい因縁を持った青年グァンイルの未来は?