
目を疑う映画だ。予想を裏切るどんでん返しと最後まで緊張が解けない展開、シン・ミナの圧倒的な熱演が融合し、観客をスクリーンに引き込む。特に視力を失いつつある人物の不安と恐怖を「瞳」だけで伝えるシン・ミナのいわゆる“動瞳演技”と言われる瞳孔の動きが、映画の没入感を一段と高める。
映画「瞳」は遺伝病で徐々に視力を失うソジン(シン・ミナ)が、双子の妹ソインの死をめぐる疑惑を追及し衝撃的な真実に直面するサスペンススリラーだ。
この映画の最大の魅力は観客を主人公の感覚へと押し込める点にある。かすんでいく視界と迫る失明への恐怖は、単なる設定ではなく劇を動かす核心のエネルギーとして機能する。ソジンは視力を完全に失う前に妹の死の真実を明らかにしなければならず、観客もその不安と焦燥を共に体験する。まるでスクリーンの向こうで自分の視野が徐々に狭まる感覚さえ覚える。
事件の展開も興味深い。映画はパズルのピースをひとつずつはめるように真実に迫る。ソジンの周囲の人物たちはそれぞれ別の顔と事情を持って登場し、誰も簡単に信じられない空気を作り出す。誰かは善意を見せるようだが、また別の瞬間には疑いの対象となる。この過程で観客は絶え間なく推理を進め、最後にたどり着く真実は予想外の衝撃をもたらす。

何よりシン・ミナの存在感が圧倒的だ。彼女はソジンとソイン、双子の姉妹を演じ劇の中心をしっかりと支える。同じ顔だが話し方や雰囲気、感情の繊細さはまったく異なる人物のように感じられる。特に視力を失うソジンの不安と恐怖を表現する過程でのシン・ミナの瞳の演技は秀逸だ。揺れる瞳孔や微細な表情の変化だけで人物の心理を説得力をもって伝え、観客を劇に没入させる。「俳優は結局演技力だ」という言葉を実感させる瞬間だ。
キム・ナムヒの活躍も見逃せない。初のスリラー挑戦でドヒョク役を担当し劇の緊張感を一層引き上げる。本人が「戸惑いを与えつつも不思議と惹かれる人物」と説明するようにドヒョクは簡単には読めない人物だ。不安と好奇心を同時に刺激し、後半に向けて存在感を強める。特に物語の流れを揺るがすジョーカーのような役割を果たし、映画のサスペンスを豊かにする。
さらにイ・スンリョンとキム・ヨンアも劇の緊張感を支える重要な軸として活躍する。執拗な狂気でソジンに執着するモデル・ヒョンミン役のイ・スンリョンは登場のたびに不安感を増幅させサスペンスを高める。一方、ストーカーの脅威の中ソジンを守ろうとする刑事ミギョン役のキム・ヨンアは事件の中心を引き締め劇に安定感を与える。異なる方法でソジンを取り巻く二人の存在感は物語の密度を高める。
ヨム・ジホ監督のセンスあふれる演出も光る。視力を失う人物の恐怖を単なるジャンプスケアではなく心理的圧迫感で表現した。さらにアルフレッド・ヒッチコックの「サイコ」やスタンリー・キューブリックの「シャイニング」、バンジョン・ピサンタナクーンの「心霊写真(シャッター、Shutter)」などスリラー・ホラーの名作を思わせるオマージュが随所に隠れ、ジャンルファンに別の楽しみを提供する。ヨム・ジホ監督演出で6月24日に韓国で公開される。上映時間は105分。
WOW!Korea提供





