「イベントレポ」チャン・イーシン(「EXO」レイ)主演『愛がきこえる』呉美保監督、奥浜レイラ登壇 公開記念トークショー 「喉が痛くなるほどの嗚咽をしながら観ていました」

第10回ゴールドクレイン賞(金鶴賞)
観客賞&最優秀主演男優賞(チャン・イーシン)W受賞

耳のきこえない父と、7歳のコーダの娘の
互いを思いあう静かな愛を描く2026年最初の感動作‼️

「喉が痛くなるほどの嗚咽をしながら観ていました」
呉美保監督、奥浜レイラ登壇
1/10(土)公開記念トークショー レポート

耳のきこえない父と、7歳のコーダの娘の心温まる絆を描き、2025年4月に本国(中国)で初登場1位を獲得した感動作『愛がきこえる』が1月9日(金)より全国公開中です。

公開翌日となる1月10日(土)に新宿ピカデリーにおいて、耳のきこえない母親とコーダである息子の関係を描いた映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』を手がけた呉美保監督と、日本手話を学び、ろう者の文化や手話について積極的に発信しているMC,ライターの奥浜レイラさんによる公開記念トークショーを実施いたしました。

呉監督と奥浜さんの交流は、2023年に公開されたオムニバス映画『私たちの声』で呉監督が手掛けた一篇「私の一週間」のお披露目の際に奥浜さんが司会を担当したことがきっかけといい、以来、監督は『ぼくが生きてる、ふたつの世界』や『ふつうの子ども

』も含めて自身の作品のイベントでは奥浜さんにMCのオファーをしているそう。呉監督は「こうやって公の場でいい作品について語り合えるのは嬉しいです」と語る通り、本作のテーマのひとつである手話という言語や名演を披露する俳優についてなど、ふたりのそれぞれの視点が光る充実のトークショーとなりました。

詳細を以下にてご報告いたしますので、ぜひご紹介をご検討いただけると幸いです。

呉監督は、映画を見終わったばかりの観客に語りかけるように「よかったですよね、映画・・・」と挨拶。映画の感想について、「まず、父と娘が写っている素敵なビジュアルで絶対見たい!と拝見しました。最初は現代から始まって、どっぷり過去に浸ってからまた現代に戻ってきますよね。現代のシーンでどんな話なんだろうと思いながら過去に戻った瞬間、ワルツがかかります。わたしは三拍子が大好きで・・・(笑) シャオマーとムームーの登場とともにワルツが流れて”ああ、これ絶対いい物語だろう”って。そこから一気に引き込まれました」と率直な印象を語る。奥浜さんは、「オープニングで20代のムームーが出て来て、その時は誰なんだろう?と思うんだけど、話が進むにつれて、だからムームーはこの職業に就いたんだということが明かされていく展開にすごく感動しました。この映画の一番好きなところです」と紹介した。

主演のチャン・イーシンについて、呉監督は人気グループEXOのレイとしての活動について知識がなかったそうで、「演じたシャオマーが余りにも人間くさくて、華やかな世界で活躍している方にはとても見えませんでした。そして、彼が行きつくところまでたどり着いたレジェンドで、今は中国で俳優として活躍している方であると知人から教えてもらいました」とエピソードを披露。続けて、「レイのインスタをものすごく見ましたよ。すごくかっこよくて!」と語る。奥浜さんは、「映画の中では手話話者、ろう者を演じていますが、麻雀屋にいる実際のろうの方たちが最後にエンドロールに出てきますよね。チャン・イーシンさんはあのコミュニティにいることにとても馴染んでいて、それは手話にもしっかり現れていると思いました。私の専門は日本手話なので中国手話のことは分かりませんが、例えば口話や表情の使い方において、顔の表情、それから口の動きひとつとってもそれが手話の文法の中に組み込まれているんです。ただの音、形ではなくて。そこの使い方を見ていても、ただ勉強をしたというだけではなく、コミュニティに溶け込んで、コミュニティの方たちとしっかりとコミュニケーションを取れていたからこそあの表現ができたと思うんです。なんて熱心な人なんだ・・・と」と感嘆する。呉監督はそれを受けて、「シャー・モー監督も、インタビューで彼がこの役になりきるために自分にできることの全てを注ぎたいという思いで臨んでくれたと言っていますね。このコミュニティの方たちとも一緒に暮らしてコミュニケーションを取りながらやっていたんですよね。本当にすごいと思います。チャン・イーシンさんは、聴力がすごくいいんだそうです。発声として出るちょっとした喃語とか、そういうものの出し方とか、身体的な意味でのパフォーマンス力だと思うんですが、そういう形態模写の究極なところで、彼の才能がふんだんに活かされた演技なのかなと思いました」と補足する。

本作では、聴者とろう者の仲介をする人物が悪意をもって話を曲げてしまうシーンがある。たとえ悪意がなくても、あいだに入る人物によって話が異なって伝わってしまうことも。呉監督は『ぼくが生きてる、ふたつの世界』での経験を引き合いに出しながら、「それはあると思います。私も実際に現場で手話通訳の方にとてもお世話になりましたが、手話と口話のように言語が違うとろう者の俳優の方々とのコミュニケーションの中で思うように伝わらないこともあって・・・。でも、もちろん誰にも悪意なんてないんです。だから誠心誠意伝えるための時間をたくさんほしいと助監督チームにお願いしたりして、私はそういう作り方で臨んでいました。でも、日常生活でもそういうことはたくさんあると思います」と振り返る。奥浜さんは、「同じ日本語を使っている私たちにも発生しうることですよね。例えば、手話と聞いた時に、それは日本語のそのままを手話で表現していると思われがちですが、これは各国同じですが、手話というのは独立したひとつの言語です。ろう者の方と話をすると、自分は日本手話が第一言語で日本語が第二言語であるという方がいます。つまり、手話とは日本語を置き換えたものではない。私たちが思う英語やタイ語、ベトナム語といった言語と同じと捉えると、例えば英語で通訳を介した時に何か齟齬がおきたり、言葉の中ではそういうことは必ず発生するものなのかな・・・と思います」と重要な指摘を加える。

ムームーを演じたリー・ルオアンについて、昨年公開の『ふつうの子ども』(25)でも子役への演出が際立った呉監督は、「私は仕事柄、撮影の裏側を見たいと思ってしまうんです。でも、そう思うということは、すごくうまく演出をされてるということですよね。子役の中で一番大事なことは、現場でのタフさ、集中力なんです。それがないと、どれだけ演技が巧くても難しくて。でも、そこが完璧な子どもはなかなかいないし、いても面白くない。それが私がいつもチャレンジする部分なんですが、経験のあまりない、天真爛漫という名のやんちゃな子どもに対して、シャー・モー監督は彼女のみずみずしくて最高に素敵な表情をたくさん切り取ってこの映画に詰め込んだと思います」と語る。続けて、具体的にシャオマーとムームーの空港での別れのシーンを挙げ、「窓越しであえてふたりを並走させる、あそこのシーンは喉が痛くなるほどの嗚咽をしながら観ていました」と明かした。奥浜さんは、「ろう者が手話を使って話していると、どうしてもできないことが社会の中にあるマイノリティになってしまうということの方がフォーカスされがちです。でも、あのシーンは、手話で話しているふたりだからこそ、あの距離とガラスに阻まれていてもできることですよね。障がいという言葉を作っているのは社会の方であって、その言葉・手話を使って会話をしているろう者という方々に過ぎないのに、その壁は誰が作ってるんだろう?と、あのシーンからものすごく感じました」と返す。呉監督もそれを受けて、「あのガラスが、社会における人の目というフィルターのようにも見えました。ムームーは全然難しいことを言っていなくて、一緒にいたいよ、パパ会いたいよと言ってるだけで、シンプルで当たり前の感情を伝えているだけの、素晴らしいシーンだと思いました」と付け加えた。

 

映画「愛がきこえる」は全国にて絶賛公開中です。2026年最初の感動体験を、ぜひ劇場にてお楽しみください。

(2ページヘ続く)

2026.01.11