開演時間が過ぎ、オープニング映像が流れると、爽やかなサウンドに乗せて会場からは自然と手拍子が沸き起こる。徐々にファンの期待が高まっていくと、そこへカン・ギヨンがステージに登場! 歓声と拍手で迎えられた彼は、手を振りながら優しい微笑みで応え、1曲目にポール・キムの「すべての日、すべての瞬間」を披露。哀愁漂うギターサウンドにのせて、繊細な歌声を会場に響かせると、ファンはうっとりと聴き入っていた。
大きな拍手に包まれる中、カン・ギヨンは「こうしてまた戻ってきました。ありがとうございます」とあいさつ。日本でのファンミーティングは今回で3回目ではあるが、イベントが始まる前はかなり緊張をしていたそうだ。司会者の古家正亨に、緊張していないか聞かれると、カン・ギヨンは「歌を歌っているとき、口の中がとても乾いていました(笑)。歌の練習はそれなりに頑張って練習したのですが、とても緊張してしまい手がダンスをしているように震えていました(笑)」と、わざと手を震わせて見せてファンを笑わせた。
笑顔でいっぱいのアットホームな雰囲気のなか、まずは「俳優カン・ギヨンストーリー」という俳優人生を年表で振り返るトークコーナーからスタート。2009年に出演した演劇「悪い磁石」で役者としてデビューした彼だが、軍隊に行った後に演技を始めたため、26歳にデビューしている。その後、2014年のドラマ「ナイショの恋していいですか!?」では31歳で高校生役を演じることもあった。古家に「30代で高校生役は大変だったのでは?」と聞かれたが、彼は「『悪い磁石』では9歳、19歳、29歳を演じ分けなければならない作品だったので、ここでトレーニングをつんで作品に入ることができました」と明かし、オーディションでアイスホッケーの経験があることをアピールしたことについては「アイスホッケーを題材にしたドラマだと聞いたので、オーディションではアイスホッケー防具を着て行きました。オーディション会場で僕の前に受けた人が出てきたときに、完全装備した僕の姿をこうして(顔の表情を再現して)ずっと見ていたのですが、その表情を見て『僕がこのドラマに出られるんだな』と確信しました(笑)」と、当時の状況を再現しながら話し、ファンを楽しませていた。
クスっと笑える言い回しや表情でトークを展開していくカン・ギヨンだが、ドラマ「ナイショの恋していいですか!?」(2014)、「ああ、私の幽霊さま」(2015)、「恋のゴールドメダル~僕が恋したキム・ボクジュ~」(2016)といった作品の中でも、面白くてコミカルなキャラクターを演じ、多くの視聴者に愛されてきた。彼の面白さが際立つ作品だが、実は3作品とも演出兼脚本家のヤン・ヒスンが手掛けたもの。彼女との縁について、彼は「この時期はしばらくヤン・ヒスンさんのペルソナとして生きていました(笑)」と明かし、場内を沸かせた。
2018年の「キム秘書はいったい、なぜ?」では、一番自分自身と似ているキャラクターだったというパク・ソジュンが副会長を務めるユミョングループの社長パク・ユシクを熱演。どんな部分が自分と似ているかについて、彼は「どんな役であっても、コメディタッチの役であれば、そこには僕自身が反映されている気がします。愉快な面がコミカルな役で引き出されているのだと思います」と語った。また、この作品を通して世界中のファンが増えたと実感したそうだ。
カン・ギヨンのコミカルなキャラクターは続き、専業主夫役を演じた「私の恋したテリウス~A Love Mission~」について、彼は「主夫ということもあり、おしゃべりだったので、カン・ギヨンのコミカルな要素がマックスで引き出された役だったのではないかと思います」と振り返った。
お笑い担当になっていた彼だが、日本でも大きな注目を集めたドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」では、ヒロインを支える上司の弁護士チョン・ミョンソクを演じた。これまでのコミカルなキャラクターとは違った役柄ということもあり、キャラクターについて彼は「チョン・ミョンソクというキャラクターを与えられたときはとても不安でした。お手本のような紳士的な先輩役を上手く演じられるかという不安もありましたし、登場する序盤には笑いの要素がほとんどなかったので、うまく表現できるのか心配しました。でも、回が進むにつれて制作陣や共演者の皆さんと良い化学反応が起きてきたので、チョン・ミョンソクという人物をより活かせることができました」と明かした。この作品で、さまざまな役柄のオファーが増えたという彼。2023年には、「悪霊狩猟団:カウンターズ2」で悪のマエストロになり、大胆なイメージチェンジを図った。彼は「いつもこんな役柄を演じてみたいという乾きがあったのですが、多様な役にチャレンジできる機会が与えられてとても幸せでした」と話した。そして、2024年1月から配信がスタートしたドラマ「ラブソリューション~愛の解決策、教えます~」では、ロマンスジャンルでは初めての主人公を担当することに。彼は「一生のうちに、ロマンス物の演技をすることができるかなと心配していたのですが、恋する感情をドラマで表現することができるようになって本当にうれしかったです」と微笑んだ。
今後の俳優活動について聞かれると、彼は「俳優としての宿命というのは、さまざまな人物をこなして、見てくださっている方々を目と耳を楽しませて満足させる職業だと思います。みなさんに楽しんでいただけるのであればなんでもやっていきたいと思います」と意気込み、会場からは期待を込めた熱い拍手が送られた。
トークコーナーを終えると、ファンと一緒に楽しめる「カン・ギヨン2択クイズ」がスタート。とある質問に2択で答えていき、カン・ギヨンと同じ答えを選んだファン5名にはサイン入りフォトカードがプレゼントされた。「初恋は?」(A:小学生以下、B:中学生以上)という質問に、カン・ギヨンはAと答え、「小学1年生のときで、同じ教室の隣で座っていた子です」と話した。「高校1年生までやっていたアイスホッケーは?」(A:人の勧めで始めた、B:自分がやりたくて始めた)は、Bと回答。2歳上のお兄さんが始めてその姿が羨ましくて始めたそうだ。「仕事やプライベートで失敗したあとは?」(A:すぐに前向きに切り替えられる、B:実はかなり落ち込む)という質問にはAと回答。もともとはかなり落ち込むタイプでしたが、いくら心配しても変わらないなと思うようになって前向きに切り替えられるようになりました」と話した。「一生に一度は行きたいと思っていたお店が大行列で3時間待ちだったら?」(A:何時間でも並ぶ、B:3時間は無理)という質問にはAと回答。なんと済州島にトンカツ屋ができたとき、15時間待ったことがあったことを明かし、ファンを驚かせることもあった。
「僕がなんでもお応えします! 質問&お願いコーナー」では、思春期の男の子をもつ母親が、反抗期の子供に対してイライラしてしまう自分を落ち着かせてほしいと、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」で熱くなったウ・ヨンウを冷静にさせるときの「ウォーウォー(どうどう)」をしてほしいリクエスト。カン・ギヨンは客席にいるファンに向けて、「お母さん、ウォーウォー」と心を落ち着かせることに成功。そのほかにファンからの質問に答えたり、「ハートを作って『サランへ(愛してる)』と叫んでほしい」という願い事を叶えたりして、ファンの心を満たした。
(2ページに続く)