巨匠イ・チャンドンがプロデューサーを務めた「私の少女」で鮮烈な長編デビューを飾ったチョン・ジュリ監督の8年ぶりとなる最新作「次のソヒ」(英題:NEXT SOHEE)が「あしたの少女」という邦題で8月25日(金)より、シネマート新宿より全国公開することが決定した。
本作は、2022年、韓国映画として初めて「カンヌ国際映画祭」の批評家週間の閉幕作品として選ばれ、昨年の「第23回東京フィルメックス」での審査員特別賞受賞の他、多数の国際映画祭での受賞を果たすなど、映画ファンから日本での劇場公開が待ち望まれていた作品だ。
舞台は現代の韓国。高校生のソヒは、担任教師から大手通信会社の下請けのコールセンター運営会社を紹介され、実習生として働き始める。しかし、会社は顧客の解約を阻止するために従業員同士の競争をあおり、契約書で保証された成果給も支払おうとしなかった。そんなある日、指導役の若い男性チーム長が自殺したことにショックを受けたソヒは、自らも孤立して神経をすり減らしていく。やがて凍てつく真冬の貯水池でソヒの遺体が発見され、捜査を担当する刑事ユジンは、彼女を自死へと追いやった会社の労働環境を調べ、いくつもの根深い問題をはらんだ真実に迫っていくのだった……。
映画は、2017年に韓国で実際に起こった事件をモチーフにして、チョン監督は、ダンス好きの明るい少女が想像を絶する過酷な労働環境に疲弊し、ついには自死へと追いやられていく様を、迫真のリアリティをこめて描ききっています。無垢な青少年を消耗品のようにこき使う企業の実態をあぶり出した本作は、日本よりもはるかに競争が厳しいと言われる韓国の社会システムの歪みをも告発する。社会の未来を担う存在であり、本来は守られるべき子供や若者が大人たちに搾取されるという理不尽な問題は、私たち日本人にとっても決して他人事ではない。
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