「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.25「映画『天命の城』の歴史背景」

6月22日から日本で公開されているイ・ビョンホン主演の映画『天命の城』。朝鮮王朝時代の国家存亡の危機となった重大な戦いを描いている。昨年韓国で公開されたときから大変評判がよかった映画だ。

王朝存亡の危機

『天命の城』が描いているのは、歴史的に言うと1636年12月から翌年1月までだ。
このとき朝鮮王朝は清の大軍に攻められて、16代王・仁祖(インジョ)は都の南側にあった南漢山城(ナマンサンソン)に逃げ込んだ。
完全な籠城が始まったわけだが、このとき朝鮮王朝の高官の間では、降伏するか徹底抗戦するかで意見が極端にわかれた。
降伏を唱えたのが崔鳴吉(チェ・ミョンギル)である。
彼は、1623年にクーデターを成功させて仁祖が即位したときに功績の大きかった高官で、清の大軍には到底かなわないと考えた。そして、降伏して国の滅亡を免れようとしたのである。
この意見に徹底的に反対したのが金尚憲(キム・サンホン)だ。
彼は、降伏の屈辱を絶対に認めない立場であり、最後まで戦い抜くことを仁祖に進言していた。
こうして崔鳴吉と金尚憲は、正反対の意見を持って激論を交わすのだが、映画はこのあたりの論争を実に丁寧に描いていて、歴史大作として重厚な作品に仕上がっている。

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2018.06.23