朝日新聞出版では、『82年生まれ、キム・ジヨン』で世界中にフェミニズム文学のムーブメントを起こした韓国人作家チョ・ナムジュさんの最新作『ミカンの味』を2021年4月20日に発売します。
本作の主人公は、4人の女子中学生。彼女たちが交わした約束をめぐる展開を軸に、それぞれの生い立ちや現在を交互に語る形で展開していきます。
言葉にできない感情の狭間で揺れながらも何かを摑もうともがき、やがて少女たちは連帯していきます。危うさもはらんだ彼女たちの連帯の姿を、社会学者の春木育美さんは<目的が違ったとしても、自分の意思と反する抑圧に抗いたいという思いに共感することはできる。そして、「仲間」とともに「連帯」し、励まし合うことで、より良い方向へと一歩前進することができるかもしれない。『ミカンの味』は、そんなエールを子どもや大人たちに投げかけてくれる作品である>と表現しました。
本作はフェミニズム文学の旗手が描くシスターフッド小説です。少女たちを優しく見守るかのような語り口は、いつかの自分の姿に重なりうずく心を優しく包み込んでくれます。まったく新しい「私たちの物語」の始まりです。
■あらすじ
中学校の映画部で仲良くなったソラン、ダユン、ヘイン、ウンジは「いつも一緒にいる4人」。中学3年生になる直前、彼女たちは旅先の済州島で衝動的にある約束を交わし、タイムカプセルに入れて埋める。未来が変わるかもしれないこの約束をめぐって、次々と事件が起こるが――。
(2ページに続く)