※一部あらすじ・ネタバレになる内容が含まれています。
4日に韓国で最終回を迎えたJTBCドラマ「それでも僕らは走り続ける」は、平凡な人が恋をして成長していく話だ。これを通じて癒しを与えるこのドラマは、視聴者の気持ちを温かくし、多くの人がドラマを見ながら泣いて笑った。
劇中、正直で堂々としていて哀れみに陥ることのないオ・ミジュというキャラクターは、女優シン・セギョンに出会って羽ばたいた。シン・セギョンは、時にとぼけて、時に淡々と人物の感情を表現し、自然な演技がキャラクターに息を吹き込んだ。おかげでドラマの面白さがさらに生きてきた。シン・セギョンは「地に足を付けて生きていく人たちの話を見せていきたい」とし、「これを通じて視聴者の皆さんが、小さな癒しを感じられたらうれしい」と語った。
Q. ドラマ「それでも僕らは走り続ける」と共に6か月を過ごしてきましたが、終わった感想は?
「それでも僕らは走り続ける」を作る全ての人が、作品を心から大事に思っていると感じられました。だから本当に楽しい6か月でしたね。
Q.ご自身が考える本作の一番の魅力とは?
平凡な恋を描いているというのが、一番大きな魅力ではないかと思います。作品の中の人物が心の中に咲く愛情のせいで、意気消沈したり、時にはエネルギーを与えたりする様々な視点からくだらない姿をたくさん見せています。そのおかげで、なぜか慣れていきつつありながら、可愛らしい姿を繊細に描いていて、人間対人間としての癒しもさらっと見せてくれる作品だと思います。また世の中を見つめるドラマの視点が、非常に温かいですよね。作品に臨んでいる間、ずっと私の気持ちも一緒に温かくなったと言ったら、単純かな(笑)。展開が新鮮だという評価にも同意します。「私がどんなことをされても、あなただけを愛してる」というのではなく、お互いのことをちゃんと守っていきながら健全に愛するべきだというメッセージが、私にとって新鮮に感じました。
Q.誰かをかわいそうに思うことも同情されることも嫌だったミジュがソンギョム(イム・シワン(ZE:A)扮)に出会ってから徐々に変化していく姿が印象的でしたが、ミジュを演じるにあたってポイントにしたところは?
このドラマには予測不可能なイベントが常にあふれていました。いつも普通ではない方向にキャラクターが動き、話していました。主人公の不遇な生い立ちは、私たちがたくさん見てきたドラマの中での背景ではあるんですが、ミジュの生き方は違いました。ミジュは正直で、恥ずかしく思うことのない人間だから、演技をしながら自分の哀れみに陥らないよう注意しました。そしてミジュが生きてきた環境について、メイ姉さん(女優イ・ボンリョン扮)と話す状況がどんどん登場します。その時も苦労して辛い思いをしながら育ったということを知ってほしいという意図は0.1gもありません。ミジュは同情されることを嫌がる人ですから。常にそうやって毅然としていたミジュが、12話からソンギョムのお父さんからひどいことを言われて、ソンギョムにあきらめると伝える時、これまでずっと押し込んで耐えてきた“欠乏”という感情があふれ出てきて、心が痛かったですね。
Q.ミジュの魅力とは?
個人的に本当に好きなミジュのポイントが一つあるんです。それはきちんと謝るということです。ミジュは今吐いたひどい言葉に対しても、すぐに謝ることのできるかっこいい人です(笑)。もちろん、こじれることもずっとあるんですが、ほとんどの状況で自分の感情を正直に表す点と、自分の仕事をすごく愛している点も大好きです。何より、ミジュが追求する恋の仕方が一番気に入っています。お互いをきちんと守っていきながら愛さなければならないという価値観が本当に健全に感じました。
一つのシーンを選ぶのが難しいくらい、名場面は本当にたくさんあります。それでも一番好きなシーンを選ぶなら…2話の屋台のシーンです。ドラマ放送前、編集室に遊びに行ってそのシーンを見た時のドキドキが忘れられません。画面は、まるで春風が吹いているように余裕があってふわっと見えるんですけど、撮影の時はいきなり降る雨を避けながら急いで撮って大変だったんですよ。セリフの量もすごく多いし、でも非常に重要なシーンだから、心配半分・期待半分で編集された内容を見たんですけど、友達以上恋人未満の男女のドキドキする感じがそのままあったんです。だから本当に幸せでした。酒に酔ったソンギョムを一人残してしばらくいなくなったミジュが再び現れた時、ソンギョムの視野の中でスニーカーを履いたミジュの足が一歩進んで入ってくるんですけど、もう…私もすごくうれしくて悲鳴をあげそうになっちゃいました。
ソンギョムが走らないことを選んだ3話のエンディングも、もう一つの名場面に挙げたいですね。「ソンギョムの人生において、それほど強烈な選択の瞬間がほかにあっただろうか」と思いました。そしてその瞬間に、ソンギョムの言語をミジュが通訳してあげる姿から、ドラマが表現しようとしている関係性の完全な形態であることが感じられました。個人的にはミジュが一生懸命に働くシーンもすごく気に入っています。そういったディテールを生かすために、私を始めとした作品の構成員みんなの頑張った痕跡が感じられたからです。
その他にもミジュがソンギョムに軟膏を塗ってあげるシーンとか、酔ったミジュの告白にソンギョムが「それはすでにしているんだけど」と答えるシーン、病気のミジュに「ないものじゃなくてあるものを呼んで」とソンギョムが言うシーン、「それなら後ろにいたみたいだ」というセリフが出てくる11話のエンディングシーンも。最後にこのシーンも挙げたいです。14話でジウさん(女優チャ・ファヨン扮)がジョンド(俳優パク・ヨンギュ扮)に向かって「私の人生はあなたのものじゃない。私の人生の主人公は私だ」と言った姿は、鳥肌が立つほどすてきでした。
Q.このドラマは愉快であり、細かいパロディーとしても好評だったが印象的な場面は?
映画「卒業」のポスターのパロディーシーンがとても思い出に残っています。実際のイメージはすごく官能的なのに、ミジュはその状況でジャージを着ていて「すごくアンバランスね」と思いました。パロディーとは言えないけど、久しぶりにコスプレができて、すごく楽しかったジウさん主演の映画「キャンディー」のいくつかのシーンを撮影したことも思い出に残っています。
Q.パートナーのイム・シワンとのケミストリーがいいと好評でしたが、共演の感想は?
脚本のソンギョム&ミジュの描写が、とにかく細かくしっかりしていたので、可能な事ではないかと思います。また監督が世の中を温かく見つめていらっしゃるのも、二人のふわっとしたケミストリーが完成された理由の一つだと思っています。イ・ジェフン監督がいらっしゃる現場は、いつも穏やかで、楽しくて、笑いながら集中できました。このような現場の温かい雰囲気が、作品の中や人物間の呼吸にそのまま感じられてよかったです。適当なラインで妥協せず、常に良いものを作るために考える相手俳優の努力も欠かせないとお伝えしたいです。おかげでいつもスムーズなシーンが完成できました。様々なシーンの性格によってアドリブで終わらせることもあったんですが、瞬発力も素晴らしい俳優さんだから、その組み合わせがいつも自然にとらえてもらえたんだと思います。
シワンさんは繊細で、本当に賢いんです。自己啓発のために常に時間を割いているのを見ると、果てしなく努力するスタイルなんだと感じました。動線やセリフのタイミングなど、相手がどのような位置だと不便なのか、何をぎこちなく感じるか、といったことを素早くキャッチしてリハーサルを終えた後、必ず私に大丈夫なのかと聞いてくれました。私が何かそういう態度を見せたりしたわけではないのに、普通の繊細さではあんなふうにできないですよ。だから現場で一緒に議論して、息を合わせる過程の中で大きな力になってもらったのは当然で、まずシワンさんが作ってきたキ・ソンギョムというキャラクターが、しっかりしていて抜かりがないので、オ・ミジュも一緒に輝くことができたと思います。
地に足を付けて生きていく人たちの話を見せたいと思っていましたし、また一方では現実的な恋愛のそれぞれの段階をうまく表現してそのドキドキする感覚をそのまま伝えたいと思っていました。そしてそうやってもまれて生きていく人物たちの姿を通じて、視聴してくださる方が小さな癒しを感じてもらえたら本当にいいなという漠然な願いもありました。放送が終わってもオ・ミジュという人がこの世のどこかでキ・ソンギョムと生きているんじゃないかなと感じてもらえたらといいですね。
Q.自身にとってどんな作品になったか。
個人的には共にするみんなが、同じ気持ち、同じ志でこの作品を大事にしているということを肌で感じられた作品でした。シーズン2があるのか最後まで待つつもりです。
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