「インタビュー」イ・ミンホ、「機が熟してから映画をやりたかった」

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ドラマ「花より男子」から「相続者たち」まで俳優イ・ミンホは、常に女性のハートを狙い撃ちする“イケメン”を演じてきた。冷たさの中に愛する女性を守ろうとする熱いハートの持ち主、まさに「相続者たち」のキム・タンが、イ・ミンホの代表的なイメージだ。そこに中国や日本など東アジアでの高い人気は、“ヨン様”から引き継ぐ韓流王子というイメージまで兼ね備えている。そんなイ・ミンホに血の匂いにあふれた映画「江南(カンナム)1970」は、意外とも言える選択であり、冒険でもある。

「なぜこの映画を選んだのか?」という質問にイ・ミンホは「基本的には、映画をやるならもう少し成熟した感じが出る20代後半になってからがいいと思っていた。『花より男子』が終わってから、映画のオファーをたくさん受けたが、『やってみたい』とか『うまくやれそうだ』という作品がなかった」と答えた。

続けて「映画というのはお金を出して、その価値を見に行くものだ。しっかり責任を持てる年齢になってから映画をやりたいと考えていた。27歳でユ・ハ監督に会って、『相続者たち』の撮影に入ると言ったら、待っててくださると言い、28歳で初の主演映画に出演した」と、これまで本格的なスクリーン進出をしてこなかった理由を説明した。

イ・ミンホは映画「江南1970」でただ幸せに暮らしたいという夢一つで、江南の土地開発を巡る利権争いに飛び込む若者キム・ジョンデ役で、初めての映画主演作を完成させた。変身したイ・ミンホに対する評価は悪くない。イケメンぶりは一旦置いて、屑拾いから始め土地登記で金儲けするためにあらゆる悪事を繰り返すジョンデというキャラクターにリアリティーあふれる演技で息を吹き込んだと評価された。

映画「江南1970」は、1970年代のソウルを背景に開発が始まった江南の土地を巡って二人の男が欲望や義理、裏切りを描いた作品で、クォン・サンウ主演の映画「マルチュク青春通り」、チョ・インソン主演の映画「卑劣な街」(原題「卑劣な通り」)に続く“通り”3部作の最後を飾る。

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―「責任を持てる映画」をやりたいということだったが、今回の映画は?
映画のイメージがぎこちなかったり、少し無理があるような感じだったりというのはありません。待っていただいただけあって、よくやったと個人的には思っています。

―ユ・ハ監督の3部作の最後になるが、感想は?
監督に聞いたことがあるのですが、初めの映画「マルチュク青春通り」を始める頃、3つぐらいに分けなければならないと思ったそうです。ユ・ハ監督といって思い浮かぶシリーズの最後を飾ったという点で意味が大きい気がします。最後に僕を使ってくださった監督に心から感謝しています。「ユ・ハ監督はずっとこのようなジャンルをされないのではないか?もう一度くらいはあるか?」という疑問もなくはないですけどね。結局最後ではなくなってしまうのではないかと。

―クォン・サンウ、チョ・インソンと違う点は?
前の2作に比べてもう少し込められているものがあり、映画自体の意味が大きいので、主人公に感情の深さを感じられるのではないかと思います。

―アクションシーンがすごかったですが、ケガも相当だったのでは?
ドラマでもアクションは1〜2回やったことがあるのですが、映画ではさらに現場で準備する時間があり、ドラマでのアクションよりも楽な部分があったような気がします。ケガの危険がある瞬間など突発的な状況も今は、安心することができます。泥まみれのアクションの場合は、環境がとにかく良くなかったので大変な時がありました。監督があえて極限状態を設定したのではないかと思っています。体は本当に大丈夫です。

―監督からどんな演技の注文があったか?
中盤まではずっと「顔がすごくいい」とおっしゃっていました。70年代の世界に入って、つらさ、空腹などを表現しなければならないのに「顔がいい」というのを強調されたので、僕も神経を使いました。撮影がない時もよくないことを考えたり、つらいことを考えたりしました。鏡も見ず、ローションなどもつけず。実際に、撮影が終わってから、肌が悪くなったと多くの人に言われました。

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―キム・レウォンとの共演はどうだったか?
レウォン兄さんは常に「僕はこう考えるけどお前はどう?」と僕に聞いてくださったので本当にありがたかったです。だから良くないことや合わないことなどはありませんでした。僕は「こうしたい」とはっきり言うタイプなんです。先輩たちと共演しても注意しながら自分の意見を全部言います。レウォン兄さんがいつも僕に聞いてくださったので、お互いに意見を言いながらうまくできたと思います。

―お互いに競争心のようなものはなかったですか?
一度もそういうことを考えたことはありません。「相続者たち」や「花より男子」の時もそうです。ドラマではいつもそういった競うような構図が作られていて、同じ世代の俳優たちと一緒に共演するといったことがあります。でも会えば意外に雰囲気がよかったりして、むしろ競うような雰囲気は全くありませんでした。レウォン兄さんは僕が若い時から知っている仲です。演技を始めたとき、事務所にレウォン兄さんがいました。演技の勉強を始める時、レウォン兄さんに会ったので、そういった感情を抱くような相手ではありません。

―ファンが見たらショックを受けるような姿もあると思うが、心配なのでは?
枠にはまった僕の姿をファンが好きなのだとは思っていません。「花より男子」の時よりも人間的で、僕の本来の姿が好きで、ずっと好きでいてくれると信じています。どんな役を演じても、もしかしたらその役に不満があるかもしれないけど、尊重してくださると思っています。

―本作を選んだ理由は?
「相続者たち」が終わってからなぜ映画に出演したのかと、よく聞かれました。もっと稼ごうとか、商業的にやろうとか思ったら、映画はできないと思います。30代を目の前にして、俳優として生まれ変わりたいという欲望もあって、そのタイミングにちょうど映画を選びました。

―変化を望んでいたと?
変化に対する脅迫観念や欲などはありません。現実に合わせて生きていく主義です。「相続者たち」の時も同じで、「『花より男子』の時に着た制服をまた着るのか?27歳なのに」と言われたこともあります。その時は20代のうちに、きれいに見える時に、そういったラブストーリーをしたかったし、20代後半では重みのある役をやりたかったんです。30代になっても、その時にラブコメをやったら面白そうだなと思えたらできると思います。

―ベッドシーンはカットされたと聞いたが、念入りに準備したのに残念なのでは?
“ベッドシーン”と表現しているシーンなんですが、情事の最中ではなく、事が終わってベッドの上で上半身裸のままタバコを吸うというシーンでした。そのシーンがなくなって、僕の露出もなくなりました。そのシーンのために運動も一生懸命にしたんですけどね。でも上映時間が長くなるから(笑)

―次回作はどんなものを考えているのか?
まだ決まってはいないですが、ことしは映画やドラマをやりたいと思っています。映画1本、ドラマ1本。ドラマなら思いっきり崩れてみたいですね。スリッパをひきずって歩いている町内にいそうなガラの悪い人みたいな感じ?今までの作品の中で一番コミカルな感じの役をドラマでやってみたいです。映画はある程度大きな規模の娯楽映画がいいですね。ラブストーリーでメッセージ性があるものをやってみたいです。

WOW!korea提供

2015.02.07