『テバク~運命の瞬間(とき)~』はベテランの男優陣が充実していた。チェ・ミンス、チョン・グァンリョル、アン・ギルガンなど……彼らに大いに刺激されてチャン・グンソクも俳優魂がみなぎっていた。
贅沢な時代劇
ベテランの男優陣の中で圧倒的な存在感を見せていたのがチェ・ミンスだ。彼は19代王・粛宗(スクチョン)に扮していたが、声の抑揚といい表情の奥深さといい、『テバク』をピリリと引き締める役割を十分に果たしている。
これほどの俳優を重要な粛宗の役に起用できたことが、『テバク』にとって本当に大きかった。
そして、物語全体を支配している李麟佐(イ・インジャ)に扮しているのがチョン・グァンリョルである。
人間のペーソスを演じさせたら当代随一の俳優だが、今回は物語を自在に操る謎の怪人物になりきって、絶妙の間合いを持った演技を見せている。
さらに、チャン・グンソクが演じるテギルの師匠となるキム・チェゴンに扮しているのがアン・ギルガンだ。窮地のテギルを助けようとしたとき、敵に対して「いっぺんにかかってこい!」とタンカを切るところは迫力満点だった。
いかにも「テギルを鍛える師匠として本当にふさわしい」と思わせる底知れぬ強さを備えていた。
こうしたベテラン俳優たちの名演技をたっぷりと見られるという意味で、『テバク』はなんとも贅沢な時代劇になっていた。
もちろん、主人公のチャン・グンソクもいい。
演じているテギルが未熟な若者だったときは、本人も「こういう演じ方でいいのか」と戸惑っている部分もあったようだが、キム・チェゴンに弟子入りして修業に励むようになってから、チャン・グンソク自身にも迷いがなくなった。
間違いなく、チャン・グンソクは名優たちに大いに刺激された。それはいい方向へのベクトルとなった。その結果、彼の演技に突き抜けていくような勢いが現れた。
構成=「韓流テスギ」編集部
提供:韓流テスギ