ドラマが持つ「人を動かす力」というものを心から実感させてくれた作品が『イ・サン』でした。このドラマは、見どころが多い時代劇です。特に、激しい党争の中で常に生命の危機を抱えていた主人公のサンが、少しずつ名君に育っていく過程がとても興味深いものでした。
博識で人格高潔だった
『イ・サン』は、現代にも通じる人材育成ドラマでした。
イ・スンジェが演じていた21代王・英祖(ヨンジョ)がサン(後の正祖〔チョンジョ〕)を教育する場面が印象的でした。
それは『イ・サン』の第43話です。
行幸に出た英祖が渓谷でお供のサンにこう言って聞かせます。
「天にのぼる太陽は、この世の万物にあまねく光を当て、流れる水は深いくぼみの隅々まで行き渡るものだ。そちは民にとってそういう王になるのだ」
このセリフによって、英祖がいかにサンに期待していたかがわかります。民衆のための政治を行なうことが朝鮮王朝の王の理想であり、英祖は「サンならばそれができる」と見込んでいたのです。
史実でも正祖は名君であり、博識で人格高潔であったことは間違いありません。たとえば、朝鮮王朝の王は毎日2回ほど当代随一の学者を呼んで儒教の教典や歴史書を勉強しますが(これを「経筵(キョンヨン)」と言います)、正祖はこの経筵に歴代王で一番熱心でした。
逆に正祖のほうから学者に教えていたくらいで、彼は明け方に鶏が鳴くまで学問に没頭することがしばしばだったと言われています。
『イ・サン』では、正祖も思慮深く高潔に生きた王という印象を残しました。主役のイ・ソジンもこのように語っています。
「国王の中でも正しい政治と情け深く寛大な性格で歴史に残っている正祖(チョンジョ)の一代記は、今の時代が願うリーダーの姿だったりしたようです。そんな点が印象的で、人気を集めることができた理由だったのだと思っています」
もちろん、イ・ソジンが主役を演じたからこそ、『イ・サン』は名君の偉大な一代記として成功したのです。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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コラム提供:チャレソ