重臣たちの反発
ドラマ『華政(ファジョン)』では、反乱の最中であったために貞明公主の結婚式は実に質素に行なわれたが、この点は史実とまったく違う。
なにしろ、御乗馬が使われたほど豪華絢爛だったのだ。
しかし、あとで大問題になった。
仁穆王后が御乗馬を娘の結婚式に使ったことが重臣たちの間で取り沙汰された。
王ではなく、ただの御曹司にすぎない洪柱元が御乗馬に乗ったのである。
「不敬罪だ」
「処罰にあたいする」
「前代未聞だ」
このように重臣たちは騒いだ。
果たして、仁祖はどういう態度を取ったのか。
彼は、仁穆王后の独断を不問に付した。
仁祖とて、勝手に御乗馬を使われて面白いはずがなかった。
しかし、仁祖が光海君を追放するために起こしたクーデターに大義名分を与えてくれたのが、まさに仁穆王后だった。
彼女がいるから、仁祖は正統性な王になれたのである。
それだけに、仁穆王后を処罰すると、自分の王位も傷つく。そこで、仁祖はこの一件をなにごともなかったかのように終わらせた。
いずれにしても、朝鮮王朝時代に王女と結婚した新郎はたくさんいるが、御乗馬に乗ったのは洪柱元だけ。そんな新郎に迎えられて、貞明公主はどれほど幸せな気分を味わったことだろうか。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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コラム提供:ロコレ