最後は死罪に……
斉献王后の寂しさが頂点に達しているとき、ようやく成宗が姿を見せた。
「どんなにお会いしたかったことか」
「なかなか会いに来れず、すまなかった。ところで、あれはなんだ?」
成宗の目に止まったのは、血のように真っ赤に染まった箱だった。必死に隠そうとする斉献王后だが、成宗は強引にそれを見て驚愕した。中には致死性の強い毒薬と呪いの言葉が書かれた本が入っていた。
「このような物を宮中に持ち込むとは……。なんたることだ!」
「どうかお許しを!」
斉献王后は必死に許しを請うたが、成宗の怒りはおさまらなかった。
こうして斉献王后は成宗から遠ざけられた。
しばらくして、成宗が斉献王后に久しぶりに会いに行ったが、すでに彼女は精神を病んでいて、成宗を見るや彼の顔を引っかいて傷を付けてしまった。
かりにも朝鮮王朝の王である。この出来事を重く受け止めた成宗と仁粋大妃は、1479年に斉献王后を廃妃にした。
最終的に斉献王后は死罪になってしまった。1482年、毒薬を無理に飲まされた彼女は、血にまみれた布を母に渡し、「これをいつか王子に渡してください」と頼んで息を引き取った。この出来事が、やがて朝鮮王朝に血の雨を降らすことになる……。
文=慎 虎俊(シン・ホジュン)
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