「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.88「『不滅の恋人』のイ・ガンとは?」

NHKの総合テレビで日曜日の午後11時から放送されている『不滅の恋人』が面白い。このドラマでは朝鮮王朝時代の2人の王子の対立が描かれるが、兄のイ・ガンは強烈な個性を持っている。このイ・ガンは歴史的には首陽大君(スヤンデグン)のことだ。後に世祖(セジョ)として即位した人物である。

弟は安平大君

首陽大君は歴史的に評判が悪い。それも当然のことだ。あまりに非道な行ないの後に即位したからだ。
その経緯を見てみよう。
1452年に6代王・端宗(タンジョン)が即位した。
わずか11歳だった。幼い国王を横目にして、自分も国王になろうと野心を燃やしたのが叔父の首陽大君だった。
決起したのは1453年だ。

彼は、端宗を支える重臣たちを殺害するクーデターを起こした。一夜にして政権がひっくり返り、首陽大君は強大な権力を持った。
そんな行動を非難したのが、弟の安平大君(アンピョンデグン)だった。この安平大君は『不滅の恋人』ではイ・フィとして登場している。
しかし、首陽大君は聞く耳を持たず、弟の安平大君を死罪にした。
そのうえで、首陽大君は甥の端宗を脅して退位させて、自ら7代王になった。ここに世祖が誕生したのである。

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2019.09.14