「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.85「済州島のアワビのお粥」

済州島のアワビのお粥は本当に美味しい!

日韓関係の政治的な悪化によって、韓国から日本に来る旅行客が大幅に減っている。その反動でどこが混んでいるかというと、なんと済州島(チェジュド)だそうだ。この夏に済州島に行く人が「ホテルがまったく取れない」と嘆いていた。

城山の食堂

済州島のことを思い出して、すぐに頭に浮かぶのがアワビのお粥だ。
とにかく、済州島のアワビのお粥は絶品だ。中でも、とても印象深かったのが済州島随一の観光地である城山(ソンサン)日出峰の近くの食堂だった。
ちょうど、城山日出峰の入口にあった民宿に泊まったときに、その主人に勧められて行った食堂だった。
出入口の横に大きな水槽があり、その中にたくさんのサザエが入っていた。

店の中では地元の中年男性が5人ほど賑やかに飲んでいて、同じ席にいた2人の女性も仲間かと思ったら食堂側の人たちだった。女性の年齢は40歳前後と30代前半。よく似ているので姉妹に間違いなく、地元の男たちも2人を目当てにこの店に足を運んでいる様子だった。
姉は正統派の美人だが、笑っていてもどこか悲しげ。もしかしたら、男で苦労しているのかもしれない。
逆に、妹のほうはまるで屈託がなく、愛嬌があって豪快に笑っていた。むしろ男に苦労をさせるタイプとお見受けした。その妹が注文を取りにきたので、迷うことなくアワビのお粥を頼んだ。
すると姉のほうが厨房に入っていき、妹は客の男たちの間に戻った。やがて厨房のほうから包丁が勢いよくまな板を叩く音が聞こえてきた。その小刻みな音が食欲をどんどん刺激してきた。

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2019.08.24