『イ・サン』は、名君として有名な正祖(チョンジョ)を描いた壮大な国王物語だ。しかも、苦難の末に大成していく正祖をイ・ソジンがすばらしい俳優魂を発揮して演じたからこそ、不朽の名作となった。
主人公のキャラクターが魅力的
『イ・サン』を制作したイ・ビョンフン監督は、日本で韓国時代劇が定着するうえでもっとも貢献した演出家である。『宮廷女官 チャングムの誓い』は“好きな韓国時代劇”のアンケートで常に上位にランクされるし、『イ・サン』と『トンイ』も傑作の評価を得ている。
イ・ビョンフン監督の作品がなければ、日本でこれほど韓国時代劇が受け入れられなかった、と言っても過言ではない。
このようにイ・ビョンフン監督の作品が愛されるのは、主人公のキャラクターが魅力的だからだ。
チャングムにしても正祖にしてもトンイにしても、みんな逆境の中で塗炭(とたん)の苦しみを味わうが、決して希望を失わず、自分を信じて前向きに精進し、最後は努力が実って夢をかなえる。
それだけに、視聴者はドラマを通して主人公が成長する過程を一緒に体験するような気持ちになれる。
そういう意味でも、困難な時代になればなるほど、イ・ビョンフン監督の作品は見ている人を励まし勇気を与えてくれる。
このイ・ビョンフン監督の題材選びは独特だ。いつも膨大な歴史書の中からドラマの主人公にふさわしい人物をさがしだすのだが、『イ・サン』の次の作品を準備しているとき、最初は昭顕(ソヒョン)を取り上げようとしていた。
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イ・ソジンは『イ・サン』の後の作品について何を語ったか(前編)