ソンヨンが受け取ったもの
恐れ多くてソンヨンが指輪を譲られることを辞退する。
「いただくわけには……。そのような貴重なものをなぜ私のような者に?」
英祖も譲らない。
「構わない。そなたがサン(正祖)の古い友だと聞いた。受け取りなさい」
王にここまで言われて固辞するわけにもいかない。ソンヨンが受け取ると、英祖は「これからも友としてサンのことを頼む」と最後の願いをする。
そんな場面を振り返りながら、ソンヨンは英祖から受け取った指輪を大切そうに握りしめた。
現実的には、王宮内の下働きにすぎないソンヨンが王から形見の指輪をもらうことはありえないが、英祖が淑嬪・崔氏(ドラマ『トンイ』の主人公)の名を口にすることで、彼がいかに生母を慕っていたかがよくわかる場面であった。
英祖は1776年に亡くなっている。ドラマの上とはいえ、英祖がソンヨンに指輪を贈ったのは1776年ということになる。
それから80年ほどの時間をさかのぼってみよう。
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イ・ソジンは『イ・サン』の後の作品について何を語ったか(前編)