<Wコラム>「出生の秘密」が現実に、トラブルメーカの息子に対するチャ・スンウォンの「最高の愛」

<Wコラム>「出生の秘密」が現実に、トラブルメーカの息子に対するチャ・スンウォンの「最高の愛」

ドラマ「最高の愛」や「君たちは包囲された」などで日本でも人気の高い韓国俳優チャ・スンウォン。彼が息子のチャ・ノア君の実父を名乗る男性から約1100万円の損害賠償を求め訴えられた。実父ではないチャ・スンウォンが実父のふりをしたとの事。

法廷紛争の原因になってしまった息子のチャ・ノアと言えば、2013年に大麻吸引や未成年者への強制わいせつ及び監禁の容疑で物議を醸した張本人。

事件の罪質が悪かっただけに、当時は実の父親と認識され、チャ・スンウォンに対しても厳しい批判が向けられた。その後も、チャ・スンウォンは、実の父親同様の親心で謝罪会見に臨むなど、親としての責任を全うしてきた。

問題のチャ・ノアは、1989年生まれである。アメリカへの留学を経て帰国し、2012年からは韓国のLGグループ傘下のプロゲーム団に所属していたプロ・ゲーマーだった。

今回、訴訟を起こした男性は、「ノア君は、チャ・スンウォンの現在の妻と自分との間で産まれた子ども」と主張し、「チャ・スンウォンがノア君の実の父親のように振る舞ってきたことで、自分の名誉が毀損された」とし、損害賠償を訴えている。

これを受け、チャ・スンウォン本人の所属事務所のYGエンタテインメントは「チャ・スンウォンは22年前の結婚当時、妻にはすでに前夫との間で産まれた3歳の子どもがいた。チャ・スンウォンはこれまで、ノア君を実の息子のように育て、当時の選択は後悔していないと言っている。今後も引き続き家族を守っていくことに変わりはない」と明らかにした。

訴訟を起こされてしまった以上、息子の「出生の秘密」を明らかにするしかなかったチャ・スンウォンだが、側近たちにもこの事実はまったく気づかれていなかった様子。

関係者たちからも、「まさか血のつながっていない親子だとは思えなかった」、「父性愛は誰にも負けていなかったので、周囲は疑う余地もなかった」、「息子の不祥事を自分事のように心配しながら解決策を考えていた」などの証言が続出している。

一方、チャ・スンウォンと言えば、映画「戦火の中へ」ではクォン・サンウと「BIGBANG」T.O.Pの相手役として、ドラマ「君たちは包囲された」ではイ・スンギの相手役として、広く知られるモデル出身の中堅俳優。ドラマ「シティホール」では「私の名前はキム・サムスン」キム・ソナの相手役、ドラマ「最高の愛」では「主君の太陽」コン・ヒョジンの相手役だった。舞台経験も抱負で、その演技力は韓流ファンの間でも高い評判を受けている。

今回の報道で、韓国ドラマのような「出生の秘密」が世間に知られてしまったチャ・スンウォン親子。はたして息子本人はどのように感じているのだろうか。いつかはチャ・ノア本人に父親に対する思いについても聞いてみたいものだ。

チャ・スンウォンの「心で授かった息子だ」との告白は、まるでドラマの名台詞だった。日韓のネット上では、「素晴らしい父性愛!」、「まさに心で産んだ子どもだね」など、チャ・スンウォンを称えるコメントが多く見られているが、本来であればこのような事柄は一生秘密にされるべき事柄である。

血をつなげたい、遺伝子を伝えたい、などの本能は、生命体に共通するものであり、人類だけの欲望ではない。このような欲望は、欧米よりは日本を含めたアジアの国々で強く感じられる。特に韓国ではそれが儒教の基本徳目の「孝」と交わり、「純血主義」が根強いの伝統として残っている。

韓国映画「シバジ(種受け)」。今回の仁川アジア大会の開会式と閉会式の総監督を務めた名匠イム・グォンテク監督の1987年作品だ。女優カン・スヨンはこの作品でベネチア映画祭で主演女優賞を獲得し、韓国映画が世界で注目されるきっかけとなった。

その内容は、「血統」を重んじる過去の韓国社会で、女性の人格が男性の権力により潰されてしまうことであった。まるで、最近、タイで起きた「代理出産」事件の日本人父親のような「血統」に対する執着を描いた映画でもある。

離婚や国際結婚の増加などで、従来の「家族の意味」を考え直せざるを得ない現代社会。チャ・スンウォンの息子に対する「最高の愛」は、ドラマを演じる俳優として、まさに”最高のドラマ”である。

WOW!korea提供

2014.10.07