喜怒哀楽がストレート
何よりも家族の絆をとても大事にする国なので、視聴者はドラマで描かれる不幸な家族関係に引き込まれ、自分も一緒になって心配しながら一喜一憂している。
会話もリアルだ。
ドラマの中では嫁だろうが姑だろうが誰もがはっきり言いたいことを言って、言葉のバトルが凄まじい。「そこまで言うのか」とハラハラするが、ドラマは喜怒哀楽がストレートでないと韓国では受けない。
そんなわけで、人間関係の確執を激しく描く「毎日ドラマ」が言葉のとおり毎日放送されている。
たまたま入った朝の食堂で、店のアジュンマ(おばさん)が涙を流しながらドラマに夢中になっている姿を何度も見たことがある。
社会的な騒乱によって家族が離れ離れになることが多かった韓国では、家族の安寧への思いがハンパではない。
特に、年配者たちはテレビドラマで描かれる不幸な家族関係にハラハラしながら、自分がようやく得た小さな幸せに胸をなでおろすのである。
本数だけでなくドラマ好きな視聴者が多いという意味で、韓国は世界に冠たる「ドラマ大国」と言えそうだ。
文=康 熙奉(カン ヒボン)