韓国では、空港であれ港であれ、飛行機や船を待っているときにテレビでドラマを見ている人が多い。たとえば、済州港で本土に行く船を待っているとき、待合室に置かれたテレビの前には中年女性が大勢集まって真剣な顔でドラマを見ていた。
朝から深刻なドラマを放送
毎日放送される本数がとにかく多いのが韓国のテレビドラマの特徴だ。
週5日の「毎日ドラマ」が朝と夜にズラリと並び、さらに夜には「ミニシリーズ」や「週末ドラマ」と称するドラマが目白押しとなる。
「ミニシリーズ」の場合、週2回の放送が普通だ。月火、水木といった具合に、2日連続で放送する。日本は週1回が基本だから、放送形態がまったく違う。
さらに、ドラマで描かれる内容を見てみよう。
平日の朝に連続して放送する「毎日ドラマ」は、題材の多くが、複雑な家庭環境で苦悩する女性主人公というパターンだ。
相手役の男性は身勝手なタイプが多く、外で子供をつくったり浮気をしたりして女性主人公を苦しめる。朝の視聴者は女性がほとんど、というのを意識した物語設定だ。さらに、嫁と姑の確執がこれでもかと描かれ、音量過剰な暗い音楽が否応なく流れる。
空港の待合室で見ていた日本人がたまらずに「韓国は朝から随分深刻なドラマを放送しているよな」とあきれていたが、それももっともだ。
ただし、朝はもっと爽やかな雰囲気のドラマがいい、と思うのあくまでも日本的な発想。韓国では朝だろうが夜だろうが関係ない。話の筋は常にドロドロしていなくてはならない、と徹底しているのだ。
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