大型書店での光景
「店の人にとがめられたらどうしよう?」
日本でならそういうことを心配しがちだが、そんな用心深さなど3人には微塵もなかった。
「1人だけ店で頼めばそれで十分でしょ」
そんな感じなのだ。
よく見渡してみると、他にも、飲食物を持ち込んでいる客が何人もいる。明らかに客は客としてわがままにふるまい、店もいちいち細かいことに口出しをしない……店内はそんな雰囲気だ。
他の記憶も甦る。
韓国で一番大きな書店といえば、真っ先に思い浮かぶのが、光化門(クァンファムン)の近くの教保文庫だ。この書店によく行っているときに目にしたのは、学習参考書を熱心に見るために店内で座り込んでいる学生の多さだった。
「立ち読み」でなくて「座り込み読み」。しかも、あまりに多くの若者が露骨に座り込んでいるので、完全に通路がふさがれている。
日本の書店では、絶対にお目にかかれない光景だ。
「客にやりたいようにさせるのが韓国のお店の流儀?」
しみじみと、そう思った。
店はおおらかで客も大満足……失われてほしくない韓国がそこにある。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
コラム提供:ロコレ
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