ペ・ヨンジュンの格言
たとえば、俳優のマネジャーで経験を積み、後に知り合いの俳優数人を集めて独立して事務所を作るような場合が多かった。それだけに、他のジャンルについてはあまり知らず、人脈も薄かった。
こうした芸能事務所は本業のジャンルに徹していて、他のジャンルに進出するという事業拡大に不慣れだった。
しかし、状況は変わった。K-POPのブームによって資金と経験を得た一部の芸能事務所は、単なるマネージメント事務所から総合エンタテインメント会社へと飛躍した。このような動きを憂える声もあった。資本力に任せた規模の拡大は、市場の独占によって中小事務所の成長を阻害する恐れがある、と。
その杞憂は現実のものとなった。
韓流に携わる者として、K-POPの隆盛は素直にうれしい。BTS(防弾少年団)の世界的人気にも拍手を送りたい。
その一方で、一部の芸能人のふるまいに悲しみを覚える。
ペ・ヨンジュンはかつて自著の中でこう書いている。
「人から見ると、私は人気も名誉もあると思うかもしれないが、自分でそれを手にしたと思った瞬間、死ぬのだと、いつも言い聞かせている」
人気と大金を得た人が「謙虚さ」を忘れたら、途端にスターの座から落ちていく。
芸能界とは、そういうところだ。
文=康 熙奉(カン ヒボン)