「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.63「韓国芸能界の変貌」

最近の韓国芸能界の不祥事を見ていると、大きな産業に発展した弊害のようなものを感じる。巨大な利益が芸能界の立場を強くしていった反面、ファンの支えによって今の自分があることを忘れてしまう芸能人も出てしまっている。

芸能事務所はどう変わったか

韓国の芸能界を取材するようになったのは、2004年以降のことだった。日本で『冬のソナタ』が大人気となって韓流雑誌の編集をするようになってからだ。
そのとき、韓国の芸能界をよく知る人がこう語っていた。
「韓国の芸能界は2000年以降に大きく変わりました。それ以前の芸能界は、運営面で粗末なところが多く、透明性も欠けていて、外部からの投資は個人投資家や業界関係者による消極的なものが主流でした。一般のイメージも“芸能界はなんとなく地下経済の一種のようなもの”でした。しかし、韓流がアジア各国で大人気となり、大企業などが大衆文化への投資を活発に行なうようになりました」
このように変わっていった韓国の芸能界。さらに、K-POPのブームによって大きな産業に発展していった。
なんといっても、K-POPは投資に対する収益性が高いと言われている。

1組のスターたちによって得られる収入は莫大なもので、そうした収益性に目をつけた外部の資本がさらに芸能界に集まるようになった。
その結果、ビッグスターを抱える芸能事務所は圧倒的な資金力を備え始めた。
それは好循環を生んだ。資金力を新たなアーティストの育成に当てたおかげで、さらなるスターが誕生してきた。
しかし、最近はその傾向に変化が見えている。というのは、芸能人の引き抜きや事務所の合併を行なって規模の拡大に固執するようになったのだ。
芸能に携わる専門家も変わってきた。
以前の芸能事務所では、マネジャーの出身者が代表となる場合がほとんどだったのだが……。

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2019.03.23