SBSの時代劇『ヘチ』では、主役のチョン・イルが若き日の英祖(ヨンジョ)を演じている。ドラマは、低い身分の血を受け継いだ「歓迎されない王子」が朝鮮王朝の政治を改革するまでを描いているのだが、果たして英祖とはどんな国王だったのか。
無慈悲な父なのか
朝鮮王朝で52年間も王位に就いていた21代王・英祖(ヨンジョ)。彼は、1762年に起こった大事件で有名である。
それは、次の国王の座が約束されていた思悼世子(サドセジャ)を米びつに閉じ込めて餓死させた事件だ。
あまりにも悲惨な出来事であり、息子を米びつに閉じ込めた英祖は、無慈悲な父と思われてきた。
確かに、やってはいけない暴挙である。
しかし、英祖はなぜそこまでやらなければならなかったのか。
「朝鮮王朝実録」の記述をこまめに読んでいくと、英祖が朝鮮王朝の王位継承を深刻に憂慮していたことがわかる。
思悼世子は頭脳明晰な世子(セジャ)であったはずなのに、成長するとともに酒乱で素行が悪くなり、側室を殺したり家臣に暴力を振るったりしていた。しかも、怪しげな人物たちと放蕩を繰り返した。
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