韓国ドラマは常に変化しています。しかし、社会の現実をどの程度反映しているかというと、それは時代によって違います。そこで、1980年代から現在までの韓国ドラマの変遷をたどります。
現実の反映が色濃くなった時期は?
1980年代までのドラマは、「現実の反映」という点では弱い点がありました。感情的に共感できるものを好む韓国人向けのドラマとしては、家族物や恋愛物が主流だったからです。ドラマのファン層も主婦を中心とする40代以上の女性だったため、素材や設定、キャラクターなどもそれに合わせた身近なものでした。
それが、1990年代にトレンディ・ドラマが流行してからファン層が若くなり、視聴者の幅が広くなりました。若いファンにもアピールできるような斬新な素材とキャラクターが要るようになったのです。
しかし、この時期のトレンディ・ドラマは現実を反映したものというより、若者たちのファンタジーを満足させてくれそうな浮世離れしたものが多く、たとえば財閥の御曹司などのキャラクターがオンパレードでした。見るからに、ありそうにない設定を立てたりしていたのです。
10代から20代をターゲットにするトレンディ・ドラマの特徴は、善悪の極端な設定、シンデレラ・ストーリーのような物語など、通俗的なものがほとんどでした。
現実の反映が色濃くなったのは2000年代に入ってからです。トレンディ・ドラマで育った10代や20代の若いファン層が社会活動に入り、ドラマのファンの関心も現実の問題へ移動しました。それにともなってキャラクターが変わりました。私たちの周囲にいる平凡なキャラクターが主人公として登場するようになったのです。
事件の背景や人間関係の設定も現実的になり、主人公たちが抱いている問題も実際私たちが感じている就職、結婚、仕事などに関わるものに変わりました。30代女性の現実的な悩みを巧みに取り込んだ『私の名前はキム・サムスン』がその代表的な例でしょう。
(ページ2に続く)
朝鮮王朝三大悪女の中で一番悪女でないのが張禧嬪(チャン・ヒビン)!