「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.40「秋の陶山書院」

古き朝鮮王朝時代の雰囲気

この陶山書院は、儒学の大家の李退渓(イ・テゲ)が1560年に創建した韓国儒教の殿堂だ(李退渓は韓国の1000ウォン紙幣の肖像画になっている)。
陶山書院では、数多くの建物が山の中腹に連なっていて、全体として組織だった書院を構成していた。
李退渓が内省に内省を重ねた書堂の前に立ち、しばし往時の学者や書生たちの勉学ぶりを想像してみた。ここで韓国儒教の理念が築かれたかと思うと感慨が一層深い。
書院をまわっているとき、特に目についたのが色彩の鮮やかさだ。いろいろな建物の天井部分に極彩色が使われていて、書院にしては随分と派手な印象をかもしだしていた。

この書院は勉学の場だ。それでいながら、山門には太極の図もあり、書院の随所に色彩が塗りたくられていた。
また、書院の奥には小さな中庭があって、その先に「陶山書院」という額を飾ったお堂があった。そのお堂の縁側に腰掛けたら、ちょうど陽が差し込んでいて、佇むと気分が和んだ。
心がポカポカするような昼下がりで、心地よい陽射しを浴びながら、古き朝鮮王朝時代の雰囲気を味わった。
やはり、陶山書院を訪ねるなら秋がいい。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

2018.10.06