「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.34「映画『1987』が描く時代は?」

韓国現代史の金字塔

学生があまりに苛酷な拷問によって命を落としたあと、警察側は悪質な隠蔽工作を行なった。
しかし、新聞報道などで暴露され、国民の怒りが爆発した。尊い学生の死は、民主化闘争の導火線となったのだ。
さらに、1987年6月に軍事政権は強圧的に取り締まりを強化したが、デモに参加していた学生が催涙弾を頭部に受けて重体に陥ってしまった(後に死去)。
燃え上がった民主化運動は韓国全土を揺るがせた。翌年に迫ったソウル五輪の開催も危ぶまれる状況となった。

ここまで事態が深刻になり、ついに全斗煥大統領は言論の自由を初めとする民主化を決断せざるをえなくなった。
以後、韓国の民主化は着実に実行された。しかし、そのためには多くの闘士たちが血を流さなければならなかった。
映画『1987』は、そんな熱き時代をスリリングに描いている。まさに、韓国現代史の金字塔を描ききった傑作だ。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

 

〔映画『1987、ある闘いの真実』公開情報〕

◆公開
9月8日(土)「シネマート新宿」ほか全国ロードショー
◆スタッフ&キャスト
監督:チャン・ジュナン(『ファイ、悪魔に育てられた少年』『カメリア』)
キャスト:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ユ・ヘジン、キム・テリ、ソル・ギョング、
カン・ドンウォン、パク・ヘスン、イ・ヒジュン、ヨ・ジング
◆提供:ツイン Hulu
◆配給:ツイン
◆原題:1987/2017年/韓国/カラー/129分
◆公式HP:1987arutatakai-movie.com

2018.08.25