「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.27「『大君-愛を描く』の作品性」

重厚な歴史絵巻

キム・ジョンミン監督が新たに演出した『大君-愛を描く』。主演は『製パン王キム・タック』のユン・シユンと、『オクニョ 運命の女(ひと)』のチン・セヨン。この2人にチュ・サンウクがからむという出演陣が魅力的だ。
登場人物のモチーフは、あの首陽大君(スヤンデグン/後の世祖〔セジョ〕)と安平大君(アンピョンデグン)の兄弟。ともに聖君と称された世宗(セジョン)の息子だ。
タイトルにある「大君」とは王の正室が産んだ王子のことだが、2人の大君が1人の美しい女性をめぐって争うストーリーは「ハラハラ、ドキドキ」の連続であった。
キム・ジョンミン監督は「歴史的な事実だけを単純に話すだけではドラマを作る意味がありません」と語っていたが、彼は『大君-愛を描く』でも巧みに虚構をおりまぜて、重厚な歴史絵巻に仕上げていた。
また、キム・ジョンミン監督は、オペラのような音楽を使って各場面を盛り上げるのが巧みだ。それだけに、視聴者が大いに感情移入できるシーンが『大君-愛を描く』には多い。この作品は、日本でも大いに注目されるに違いない。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

2018.07.07