「キム秘書がなぜそうか?」でのパク・ソジュンの告白に安堵した理由

ミソとヨンジュンのロマンスが始まる過程にも指摘すべき余地がある。ミソがヨンジュンとの恋愛を拒否した後も、これを無視してミソにあふれるようなイベントを繰り返すヨンジュンの姿はロマンチックというよりは多少暴力的だ。ふたりが、拒絶するのが簡単ではない上下関係だということを考えた時には、いっそう強勢性が感じられる。作品は、ミソがヨンジュンに恋愛感情を感じていたという設定だからだろうが、相手の意思を尊重しない求愛はしないほうがいい。

ミソに対するヨンジュンの「直進」が危なっかしく感じられるのは、ふたりが仕事を中心とした上下関係を前提にするからだ。5話の放送でのヨンジュンの告白が幸いだと感じられたのも同じ理由からだ。

一方からの、それも権力を持った側からの一方的な求愛がロマンスに見えるということは、しばらくは起らないという安堵からだ。彼らの感情面における交流も、上司対部下ではなく人間対人間の共感に変化するはずだからだ。作品の道徳面における欠陷が解消されたわけだ。

「キム秘書がなぜそうか?」の原作であるウェブ小説は 2013年に発刊された。そして、過去5年間、暴力とロマンスの境界線における視聴者の基準はいっそう複雑で詳細になった。原作に充実であることは重要だが、トレンドを読むという点も重要な徳目だといえる。

 

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2018.06.21