地政学的に見れば、朝鮮半島は常に大国に囲まれている。西に中国、北にロシア、東に日本、そして、その先にアメリカ。これほど多くの大国に囲まれた国というのは、世界でも朝鮮半島しかない。それだけに、小さな国が生き残っていくのは大変だ。
李成桂の反対論
「事大主義」という言葉を知っているだろうか。
これは、「物事をやたらと大きくする」という意味ではない(韓国にはそういう傾向の人が多いのは確かだが……)。本来は「大に事(つか)える」という意味で、小さな国が大国に従うことをさしている。
いわば、小国が生き残りを図る処世術なのである。
歴史的にも、朝鮮半島は事大主義で生き残ってきた。たとえば、高麗末期の1388年を見てみよう。
当時、随一の将軍だった李成桂(イ・ソンゲ)は、高麗王から、領土紛争をしていた中国大陸の明(みん)を攻めるように命令された。
しかし、李成桂は反対論を主張した。
「小さな国が大国に逆らってはいけません」
そういう論理だった。(ページ2に続く)