第40回 貞明公主・後編
14代王・宣祖(ソンジョ)と仁穆(インモク)王后は、優れた書をしたためることでともに評価が高かった。その2人の血を受け継いだ貞明(チョンミョン)公主(コンジュ)。書の才能が抜きんでていた。生活が苦しく日用品が不足していたのだが、その中でも貞明公主は何とかやりくりして紙と墨を用意して、長い時間、書と向き合った。それは、母である仁穆王后をなぐさめるという目的もあった。
「華政」の意味
仁穆王后は娘の貞明公主が筆を取っている姿を見るのが大好きだった。そのことを貞明公主はよく知っていたので、母を喜ばせたい一心で書の時間を増やしていた。
才能があるだけに、貞明公主はすばらしい書を残している。
「華政」
それが、貞明公主の有名な書の文字である。「華やかな政治」という意味だ。ドラマ『華政』も、この文字をタイトルにしているのである。
彼女は幽閉中でも、決して人生を諦めなかった。普通の王女であれば、10代の前半で名家の御曹司と結婚するのが常だったが、貞明公主はそんな境遇ではなかった。結婚どころか、いつ光海君が刺客を送ってくるともかぎらなかったのだ。
そんな苦しい境遇の中でも、貞明公主は希望を捨てなかった。
「華政を実現できるときがきっと来る」
そんな思いで、苦しい監禁生活に耐えたのである。(ページ2に続く)