2016年に韓国で放送された『テバク~運命の瞬間(とき)~』は、スケールが大きい本格時代劇である。ただし、ドラマに出てくる時代背景がちょっと複雑なので、そのあたりを簡潔に説明しておこう。
粛宗をめぐる女性たち
物語を序盤からグイグイ引っ張ったのが、名優チェ・ミンスが演じた19代王・粛宗(スクチョン)だった。この粛宗はどんな王であったのか。
粛宗には合計で4人の正室がいた。
最初の正室は仁敬(インギョン)王后だったが、天然痘のためにわずか19歳で亡くなっている。
二番目の正室は仁顕(イニョン)王后で、人格が優れていて多くの人から慕われたが、子供に恵まれなかったために、次第に粛宗の寵愛を失っていった。
代わって、粛宗に気に入られたのが張禧嬪(チャン・ヒビン)であった。彼女は一介の宮女にすぎなかったが、巧みに粛宗に近づき、ついには粛宗との子を成して宮中での権勢をほしいままにした。(ページ2に続く)