復讐こそが孝行
仁穆王后はさらに言った。
「10年間の幽閉生活を生きのびてこられたのは、ひとえに今日という日を待っていたからだ。ぜひ仇(あだ)を討ちたい」
この言葉を聞いて、綾陽君の家臣が答えた。
「追放された王について、昔から臣下の者たちがあえて刑罰を論じることはありませんでした。今まさに下された命令を受け入れることは難しいのですが……」
この言葉が仁穆王后を刺激した。
仁穆王后はすかさず綾陽君に言った。
「そなたが即位して私の意をくんでくれるならば、私のために復讐するのが孝行というものではないか」
このように言われても、綾陽君はうなずくわけにはいかなかった。(ページ3に続く)