ことしもやってきた4月1日「エイプリルフール」。近年のハロウィンのお騒ぎに比べれば、この日の日本はそれほどの盛り上がらなかったようだ。しかし、となりの韓国はこの日、ダイナミックなウソで盛り上がっていた。儒教の伝統に反している気もするが、芸能人たちも毎年ギリギリのウソに参加している。ことしは「FTISLAND」ホンギのウソが話題を呼んでいる。
韓国ではこの日を「萬愚節」といって、個人だけでなく、公共機関までもが「大ウソ」を働くことで国中がソワソワした雰囲気と変わる。
もちろん過去には一般市民から112番(日本の110番)や119番にウソの通報があり、警察や消防が本当に出動してしまうこともあった。一個人の「シャレにならないウソ」が交通機関など国のインフラを混乱させたことまであったのだ。だが、「萬愚節特別法」が定められているわけではないので、やり過ぎた場合はもちろん処罰されてしまう。
「エイプリルフール」を激しく楽しもうとする韓国人も多い中、最近ではネット上で完結する「ウソ」が主流になっている。そのほとんどは「笑って済ませられる」という本来の趣旨に戻りつつあるのだ。
例えば、釜山(プサン)地方警察署は、公式Facebookに女性警官の「キヨミ・ポーズ」の写真を掲載しては「動画」のように見せかけた。当然、ただの「再生ボタン」付きの画像だったのでいくらクリックしても再生されない。市民からの苦情には、ユーモラスなコメントで返し、皆で笑って掲載終了した様子。
また、京畿道(キョンギド)の高陽(コヤン)市庁のFacebook公式ホームページは、4月1日の朝から全羅北道の高陽(コヤン)市になっており、背景画像も全羅北道関連のものになっていた。
反対に、全羅北道の公式ページは、「高陽(コヤン)市の全羅北道」というあり得ない表記と、「コヤン」という発音に因んで「猫」のイラストを掲載するという言葉遊び的なセンスまでみせた。韓国語で「猫」は、「コヤンイ」である。
一方、芸能界でも様々な盛り上がり方をみせた。
イ・ホンギ(FTISLAND)は「本当は俺、バンパイアだったの」と告白しながら、吸血鬼風に変装した写真をTwitterに掲載。しかも、「FTISLANDは解散し、ホンギとキッズとして生まれ変わりますと」という大ウソ付き。さすがにこのレベルのウソに騙されるファンはおらず、逆に「ホンギ可愛い〜子供みたい」、「少年のような純粋な心を忘れてないね」などと撫でられてしまった。
ファンたちも黙ってはおらず、「BIGBANG」、「少女時代」、「SHINee」などのファンたちは自分たちのファンクラブサイトのトップページを別のアーティストの写真に変えたり、レストランのサイトのように見せかけたりと、様々な工夫で話題を集めた。
また、自分の願望を「既成事実」のよう見せかけてSNS上に流す熱血ファンもいた。往年のガールズグループ「FIN.K.L」(ピンクル)の復活を日にちまで入れて流したり、映画評論家ホ・ジウンを詐称したアカウントを開設して本人に告発された人まで現れた。
エイプリルフールじゃなかったら、「虚偽事実の流布」や「経歴詐称」の犯罪で捕まるところだ。
世界一住みにくい都市とされている韓国の「ソウル」。自殺率も日本を抜き、世界トップを争うこの国で、「エイプリルフール」は大切な「爆笑イベント」なのかもしれない。