韓国社会では水平的な人間関係よりも垂直的な上下関係だとお話ししました。
その由来はいろいろありますが、歴史的な背景、儒教の影響、軍隊経験からくるものだと考えられます。
長い歴史の中で韓国は半島という地政学的な位置から、大陸から海へ、海から大陸に進出する通り道であるため周辺国にとって確保したい場所でした。古くは蒙古族の元が日本に攻め込むルートでありましたし、近代においては日本が大陸に攻め込む重要な拠点でした。東に不凍港を確保したいロシアにとっても欠かせない半島でした。
このような地政学的な位置にある韓国は常に外からの侵略の脅威にさらされていたため、会議などの民主的な時間を掛けて長々と「ああだこうだ」言っている暇がなく、常に強力なカリスマが求められました。即ち瞬時に決断を下せなければなりません。敵の脅威に素早く対応できるリーダーシップ、命令一下でスピーディーに動く組織でなければ国は滅びてしまいます。
そのおかげで、あの中国大陸の強大な王朝隋、唐、元、明、清が攻め込んできても韓民族の国家が維持され、今日に至っているわけです。中国地図を見ても西のほとんどが中国の勢力圏ですが、東の端にあるちっぽけな半島だけが独立国として残っているのですから、その粘り強さはなかなかのモノです。
その源は中央集権的な組織のもとでの上意下達、つまり一糸乱れぬ上下関係のおかげです。その精神的バックボーンが儒教の教えです。王は臣下を子のように思い、臣下は王を親のように敬う教えが日本よりも徹底したのは、このような韓半島の特殊な背景があったためではないでしょうか。
日本の敗戦後に独立した後、米ソの冷戦構造がありながら韓国が今日、自由民主主義国家として存在できたことにはいろいろな異見がありますが、李承晩大統領の決断とリーダーシップがあったことは確かです。今日の経済先進国になったのも異論はありますが、朴正熙大統領の功績です。また、世界企業になったサムスン(三星)、現代自動車にもオーナーの強力なカリスマがありました。
文=権鎔大(ゴンヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大発行/駿河台出版社)
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