「AQUA」からは、疾走するビートとファンのコーラスが映えるパートに突入。「Time To」のコール&レスポンスや手拍子はホンギに操られ、まるで、ファンもバンドの一員になったような一体感に襲われる。今回のツアーは小さなライブハウスでも多く行ったが、同じ空間で同じ曲を作り上げていくこの一体感は、それが武道館になっても変わらない。
今回の武道館はバックスタンドまで360度を客席に囲まれた構成で、バックスタンド前からステージまでぐるりと花道が伸びる。「俺、今日ここに来るまでみんなが後ろにいるの知らなかった。これって、俺が走る距離が2倍になるってことじゃん」というホンギ。バックスタンド席と同じ高さにいるドラムのミンファンが「背中の汗が見えて恥ずかしい」といえばホンギが「セクシーさをアピールしろ。俺はここで戦ってるって!」と盛り上げた。
ポップチューンの「YOU DON’T KNOW WHO I AM」でムードを変えると、これまでアンコールで演奏していた「JUST DO IT」が中盤に挟みこまれた。ツアー2本目の大阪公演から自然発生的にダンスが生まれたこの曲に「俺は踊らないから!」と頑なだったホンギが、「みんなで踊らないと、進まない」とノリノリで踊るまでに。
自然発生といえば、スンヒョン作の「そばソング~フニが好きなそば~」もすっかりこのツアーの定番に。ジョンフンが毎回ライブ前にそばを食べているのを見て作り、MCコーナーで披露されてきたが、回を追うごとに完成度が高まり、最後の武道館ではミンファンのドラムをバックにアコースティックギターでスンヒョンが熱唱すると、「ちゃんとした曲として完成させよう」とホンギが促す場面もあったので、日の目を見るときが来るかも。
スピード感のあるロックを中心に構成する中、緩衝材になったのはアコースティックコーナーだ。ジョンフン、スンヒョンがアコースティックギター、ジェジンはウッドベースを演奏。なつかしの「SOYOGI」も良かったが、何といっても「LIFE」が絶品。オリジナルと全く違う暖かなアレンジに、徐々に高まっていくホンギのボーカル。そこに柔らかなジェジンの歌声が絡む。大人になったFTISLANDの人生の捉え方がアレンジに現れたようだ。ペンライトを振るのも忘れ、聴き入っているファンの姿も印象的だった。
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