ソンジェは義務警察の広報団に所属したが、義務警察の本来の任務は交番勤務、交通整理、治安維持活動である
5月に兵役から戻ったソンジェ。7月19日の大阪公演、7月21日の東京公演で日本のファンに復帰の挨拶をした。8月10日にはソロアルバム『It’s Time』を発表。10月から11月にかけて超新星としての日本ツアー(福岡、広島、大阪、名古屋、東京で開催)も行なわれる。エネルギー全開となったソンジェの活躍が楽しみだ。
兵役を経ると何かが変わる
5月に兵役を終えて帰ってきてからは、ソンジェが発する言葉の一つひとつに重みがある。兵役で不在となっている4人(ゴニル、ソンモ、グァンス、ジヒョク)に対する責任感も強いのだろう。ユナクと2人で超新星を守っていくという強い決意が言葉にあらわれている。
それは、ファンにとっても本当に頼もしい。
韓国の男性は「兵役から戻ってくると人間的にもひとまわり大きくなっている」とよく言われるが、まさにソンジェがそうだ。
何よりも、無事に兵役をやりとげたという自信が大きいはず。さらには、兵役中に経験したことが大きな糧になっているに違いない。
それほどまでにソンジェを変えた兵役という経験。今一度、振り返ってみよう。
義務警察では何をするのか
よく知られているように、ソンジェは義務警察で兵役を全うした。この義務警察は、軍務の代替制度として確立されたものだ。
もともと韓国軍は兵員が過剰になっている。兵器のハイテク化で従来ほど兵士を必要としないのに、兵役によって次々に20代の若者たちが軍に入ってくるからだ。その一方で、全国の警察は慢性的な人員不足になっている。
そこで、軍に入るべき人たちの何%かは警察のほうに行ってもらおう、というのが軍務代替制度としての義務警察の役割だ。
ただし、義務警察は志願者が多いので、選抜試験を経て該当者が決まる。合格者は4週間の新兵訓練を受けたのち、警察センターで3週間の研修を受け、その後に全国各地の地方警察庁に配属される。
主な任務は、交番勤務、交通整理、治安維持活動などである。
かつてはデモの取り締まりも大きな役割だったが、今はデモそのものが少なくなり、その任務も極端に減っている。
なお、ソンジェが所属したのはソウル地方警察庁にある広報団である。この広報団は18人前後のメンバーで構成され、学校を回って校内暴力やイジメの撲滅をアピールするのが主な任務だ。他にも、警察組織の広報や、民間との交流事業でパフォーマンスを披露したりする。現在は東方神起のチャンミン、「SUPER JUNIOR」のドンヘとシウォンが広報団に所属している。
社会性が本人の成長を促す
広報団での活動は、ステージで歌と踊りを披露する機会が多い。それだけに、日々の練習が欠かせない。それは、K-POPのスターにとっては、とても役立つことだ。
ソンジェもはっきり言っている。
「歌手生活の感覚を失わないでいることができたので幸運でした」
この言葉には実感がこもっている。
しかも、利点はそれだけではない。社会的な意識そのものが変わるのだ。
校内暴力やイジメをなくすために学校をまわって生徒たちと触れ合う中で、より良い社会のために自分が何をなすべきかを真剣に考えるようになる。その中で、広報団のメンバーは社会性を身につけていく。
「自分1人で生きているわけではない。みんなで助け合うのが社会だ」
そういう意識を強く持つようになるのである。ソンジェも学校をまわりながら、社会と自分とのつながりを深く考えただろう。
彼は復帰後にファンに向かって「死ぬまで一緒にいてください」というメッセージを発したが、この切実な言葉も、兵役を経験してファンのありがたみが骨身にしみた結果なのであろう。
実際、ソンジェは兵役前と後では自分の性格が少し変わったと言う。もともとはせっかちなタイプだったのに、なにごとも余裕を持って対応できるようになったそうだ。
この変化は大いに歓迎すべきことだ。一言で言えば、辛抱強くなったということだろう。自由がきかない兵役期間中にソンジェは我慢することを覚えた。これも彼の人間的な成長につながるだろう。
文=「ロコレ」編集部
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