東方神起のユンホは第26師団の軍楽隊に所属している。一般的に、韓国軍における軍楽隊はどのような構成を持ち、どんな楽器の編成になっているのか。前回に引き続き、「軍楽隊のすべて」の中編をお届けしよう。
個人練習が絶対に欠かせない
まず、前回の前編をコンパクトにまとめてみる。陸軍の軍楽隊にはA級軍楽隊、B級軍楽隊、C級軍楽隊の3種類があり、ユンホが所属しているような師団所属の軍楽隊はC級である。
●C級の場合、構成メンバーは25人ほどで、軍楽隊長は中尉から少領(少佐)くらいの階級の人が務めている。
●隊員は5~7人くらいの分隊に分けられ、分隊ごとにそれぞれの生活館(兵舎のこと)で日々を過ごす。
●師団に所属するC級の軍楽隊は、新兵訓練中の兵士の中から選抜されることが多い。つまり、A級やB級のように入隊前の選抜試験に合格しているわけではないのだ。
●ユンホの場合、「打楽器の軍楽隊員」として第26師団の軍楽隊に入っている。
以上のことを頭に入れて、中編に進んでいこう。
師団の軍楽隊員というのは、音楽大学の学生とか音楽を専門的に学んでいるとか、そこまでプロ的ではない。「趣味として楽器をやっていた」という人が新兵訓練中に選ばれるケースが多い。
それだけに、軍楽隊員になったあとの個人練習がとても重要になる。わかりやすくいえば、昼間の全体練習だけでなく、夕食後の休憩時間を使って個人練習にも相当励まなければならない。
そういう意味では、軍隊にいても音楽漬けと言っていい。音楽好きな人にとっては「望むところ!」という気分に違いない。
どんな1日を過ごすのか
軍楽隊の隊員といっても、軍人であることにかわりはない。まずは、兵士としての務めが最優先するのである。
それでは、軍楽隊ではどんな1日を過ごすのか。平均的なタイムスケジュールを見てみよう。
午前6時 起床して点呼を受け、体操や掃除をする
午前7時 朝食
午前8時 練習開始(45分練習して15分休憩、といったサイクルが多い)
正午 昼食
午後1時 午後の練習開始
午後5時 練習を終えて後片付けをする
午後6時 夕食
午後7時 休憩時間(個人練習を行なう)
午後9時半 点呼
午後10時 就寝
以上が平均的な1日の動きだ。
なお、冬期(11月~2月)になると、師団によって起床時間が午前6時半になる。この場合は、練習が午前8時半から始まる。
なお、陸軍は通常、土日の軍務が休みだが、軍楽隊員は休日出勤でイベントに出ることも多い。そんなときは、後に代休を取ることになる。
木管楽器と金管楽器
軍楽隊である以上、重要なのが楽器の編成である。それでは、師団に所属する軍楽隊には、どんな楽器の担当者がいるだろうか。
具体的に見ていこう。
●木管楽器
かつては木で作られていたが、今はかならずしもそうではない。楽器の分類で言うと、「金管楽器以外の管楽器」という意味で使われることが多い。
通常の軍楽隊では、木管楽器の中ではクラリネット、フルート、ピッコロ、サクソフォーンなどが編成される。
そして、木管楽器は全体で10人前後が編入されるのが一般的だ。
この中で人数が多いのがクラリネットとサクソフォーンである。
●金管楽器
主に真鍮(ブラス)で作られているが、唇の振動で音を出す楽器であって、金属でできているかは関係がない。
通常の軍楽隊では、金管楽器の中ではトランペット、トロンボーン、ユーフォニアム、チューバ、スーザフォンなどが編入される。
金管楽器は全体で12人前後で編入されるのが一般的だ。
この中で人数が多いのがトランペットとトロンボーンである。
バンドを組んでコンサートにも登場
●打楽器
軍楽隊においては打楽器が特に重視される。力強いリズムを刻むことが軍務に合っているからである。
打楽器の数は非常に多いが、通常の軍楽隊で使われるのは、シンバル、大太鼓、小太鼓である。
そして、打楽器は全体で4人前後が編入される。
ユンホは打楽器の奏者として第26師団の軍楽隊に選ばれているので、彼は打楽器の練習に励んだことだろう。
以上が、軍楽隊の正式な楽器構成である。
各種の行事においては、各楽器の担当者が全員集まって、軍楽隊長の指揮のもとで立派な演奏を繰り広げていく。
しかし、出番はそれだけではない。
正式な行事以外にも、簡易的なバンドを組んで民間向けのコンサートに出向いていくことも意外と多い。
その際には、ギター、ベース、キーボード、ドラムという構成になったりして、ボーカルがかならずメインを務めている。
こうした場合に、メインボーカルをユンホが担当して、すばらしい歌声を響かせたりする。また、踊りなどのパフォーマンスをステージ上で披露してファンの喝采を浴びることもある。
以上のように、軍楽隊の役割は本当に幅広いのだ。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/