「コラム」ペ・ヨンジュン 過去への旅路(第6回)

2041120q25468811-2第6回 ドラマ『初恋』に出演

『パパ』に出演したペ・ヨンジュンは激務の撮影で疲労困憊となり、1996年1月下旬に入院する羽目になってしまった。しかも、話にどんどん尾ひれが付いて引退騒動にまで発展した。大変なことが起こってしまったが、それもペ・ヨンジュンの人気が凄かったからである。

 

撮影の疲れで体調を崩す

1996年2月14日付けの「イルガンスポーツ」は次のように紹介している。

「ペ・ヨンジュンが出演している『パパ』の撮影が終わろうとしている1月26日、ヨイドの病院に入院して精密診断を受けた。

そして、今後は渡米して誰にも知られないところで静かに過ごすということが2月13日に明らかになった。

ペ・ヨンジュンは最低でも半年は休養する予定で、この期間に国内で彼の姿を見ることはできないと思われる。

ペ・ヨンジュンのこのような電撃決定は、1994年秋にデビューしてから『連続するドラマ出演で、疲労が重なったため』というのが本人の説明である。ペ・ヨンジュンは最近貧血や消化不良などで体重が3キロ以上減り、疲労による症状も訴えていた」

こうした報道は、ペ・ヨンジュンがデビューして間もない頃から、撮影時に極度に疲労して体調を崩すことが多かったことを物語っている。

役柄への集中度が極限に達するほどだから、どうしても撮影の終盤にはやつれてしまうのであった。

代名詞は「タフガイ」

BYJpngドラマ『初恋』に出演したペ・ヨンジュン

1996年2月から半年間の休養を取っていたペ・ヨンジュンが、その年の秋から再びテレビドラマの世界に戻ってきた。

しかも、大変身していたことがファンの間でも大いに話題となった。

どんなふうに変身したのか。

一言でいえば、「タフガイ」になったということだ。これは、韓国では「男らしい」という意味で、かなり好意的に受けとめられる。

韓国の男性は、とにかく筋骨隆々とした肉体こそが男の象徴、という考え方が強い。今も男優が体力作りに熱心なのも、「力強い」というイメージを保ちたいためだ。

けれど、デビューしてから数年のペ・ヨンジュンには「優しくて柔らかい雰囲気だけど、ちょっと弱い」という印象があったことは確かだ。しかも、メガネがトレードマークなので、どうしてもインテリ風に思われてしまうし、ドラマ『パパ』はその先入観を裏付ける結果ともなっていた。

そんな印象をガラリと一変させたのが、『初恋』への出演だった。

実は、ペ・ヨンジュンは半年間休養していたといっても、ただ休んでいたわけではなかった。たえずフィットネスクラブに通ってトレーニングをして筋力アップに励んでいたのである。

「おかげで約3キロも体重が増えました」

そう言って、ペ・ヨンジュンは快活な笑顔を見せた。

実は、休養期間にペ・ヨンジュンはもう一つの変身をしている。それは何か。

『初恋』の出演に意欲を燃やす

ペ・ヨンジュンは視力の矯正手術を受けたのである。

「右目にレーザー手術を受けました。極端な近眼でしたが、少しはよくなりました。でも、右目は少し視力が回復したとはいえ、左目はそのままなので、バランスがよくないんです。メガネをはずすと、まぶしくて痛いくらいです。今度、時間をみて左目も手術を受ける予定です。『初恋』ではメガネをはずして撮影をしたのに、目が痛くて焦点を合わせることができず、しばしば顔をしかめてしまいました」

ペ・ヨンジュンが『初恋』でメガネをはずした背景には、視力の矯正手術をしたということがあったのである。

メガネをはずし、肉体もたくましくなったペ・ヨンジュン。それほど、『初恋』の出演に向けて意欲がみなぎっていた。

「前作の『パパ』を終えて、これからは優しい役柄より違ったものを演じたいと思っていたので、今度KBSから『初恋』の出演要請を受けたとき、好都合だと思いました。優しい模範生の役柄をずっと続けると、自分のイメージが固まってしまいますから……」

まさに、『初恋』のチャヌ役は、ペ・ヨンジュンが望んだものだった。兄のチャニョクとの兄弟愛が描かれることになるが、ペ・ヨンジュンの意欲はみなぎっていた。

「チャヌは、はたからはタフなように思えるが、実は奥の深い若者。ヒョギョンとの初恋を噛みしめたまま、兄のために譲歩して、その兄に美術の勉強を継続するように促すんです。今後、奥の深いキャラクターを表現できれば満足です
再び家族と同居

兄のチャニョクを演じたのは、韓国の国民俳優とも呼べるチェ・スジョンだった。高い人気を誇る俳優との共演で、ペ・ヨンジュンも「多くのことを学びたい」と喜んだ。

気合が入っていただけに、やはりいつものように頑張りすぎて、ペ・ヨンジュンはアッというまに体重が減って、げっそりしてしまった。せっかくタフガイのイメージを作ったのに、それも台なしになった。

無理はなかった。演技をすればするほど、「なんでもっとうまくできないんだ」と悩むばかりだった。65.8%という韓国ドラマ史上最高の視聴率をあげた「初恋」は、ペ・ヨンジュンに多くの試練を与えたドラマでもあった。

何よりも、イメージを変えようとすれば、相応の演技力を求められる。その点でペ・ヨンジュンにはまだ確固たる自信がなかった。

彼は『初恋』に全精力を傾けるために、生活環境を変えようと決意した。それが家族との同居だった。

デビュー当時こそ家族と一緒に暮らしていたペ・ヨンジュンだが、人気者になってからは撮影に便利なように立地条件のいい場所で独り暮らしを続けていた。しかし、独り暮らしは食事の面で不便が多かった。

自宅に戻る決心をしたのは、やはり母の手料理が食べたくなったからだ。

『初恋』の撮影後にスタッフや共演陣と宴会をしてかなり酒を飲んだあと、翌日起きたときに、母の手作りスープが懐かしくて仕方がなかった。

「これで余計なことに神経を使う必要がなくなりました。撮影に集中できます」

ペ・ヨンジュンはそう語って、長期間にわたる『初恋』の撮影に向けて万全の環境を整えた。

(次回に続く)

 

文=康 熙奉(カン ヒボン)

 

コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/

2016.05.14

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