「コラム」反転攻勢!いま『テバク』に何が必要なのか

去っていった視聴者を呼び戻すというのは容易ではない。しかも、去る人がいまだ減らない状況だ。間違いなく『テバク』は苦境にある。しかし、まだ第6話が終わったばかり。挽回するチャンスは残っている。再び上昇するために、今後の『テバク』に何が必要なのだろうか。

下がり続ける視聴率

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SBSの同時間帯の前作ドラマ『六龍が飛ぶ』の好調な視聴率を引き継ぐ形で始まった『テバク』。確かに、スタートは良かった。

第1話が放送された3月28日には、ライバル局のKBSとMBCでも新しいドラマが始まった。しのぎを削る3局が同時スタートで新ドラマを放送するという異例の展開。それだけに、視聴率争いは注目のマトだった。

その中で、『テバク』は幸先が良かった。KBSの『町の弁護士チョ・ドゥルホ』とMBCの『モンスター』を抑えて、3作品の中でトップを獲得。出足の11.8%という視聴率にSBSも大満足だった。

第2話はさらに視聴率が上がって12.2%。大ヒットの予感すら感じさせた。

しかし、その後は伸びなかった。それどころか、視聴率が下降線に入ってしまって、4月12日放送の第6話では8.4%まで落ちて、3作品の中で最下位になった。

なぜ、こんなことになってしまったのか。

『テバク』の制作発表会でのチャン・グンソクは、並々ならぬ決意を秘めていて、「過去を捨てる」とまで言い切っていた。

新しいドラマにかける意欲がハンパではなかった。それだけに大いに期待されたのだが、今のところは主役の熱意も実を結んでいない。

子役を脱したヨ・ジング

a4656f4b3246d3e049dbd9919eb0332e英祖を演じるヨ・ジング(写真/韓国SBS『テバク』公式サイトより)

第1話と第2話はチャン・グンソクが演じるテギルが誕生した頃の話だった。物語の中心は本格派のベテラン俳優が担っていた。

粛宗(スクチョン)を演じるチェ・ミンス、李麟佐(イ・インジャ)に扮したチョン・グァンリョル、淑嬪(スクピン)・崔(チェ)氏を演じたユン・ジンソ。3人の演技は見応えがあり、ドラマが重厚な歴史劇になっていた。視聴者の満足度も十分に高かっただろう。

問題は第3話の後半以降だ。テギルを演じるチャン・グンソク、英祖(ヨンジョ)に扮したヨ・ジング、タムソ役のイム・ジヨンが登場し、物語の主導権はベテラン俳優から若手俳優に切り替わっていった。

正直言って、ギャップがあった。特に、ヨ・ジングとイム・ジヨンにはハラハラさせられた。

ヨ・ジングは天才子役と言えるほど、演技のセンスが良かった。『太陽を抱く月』にしても『会いたい』にしても、大人の俳優を食ってしまうほどの芸達者ぶりを見せていた。そんな彼が、今回は子役から脱して大人の俳優として新たにスタートを切った。

チャン・グンソクが制作発表会で、ヨ・ジングのことを「恐ろしい俳優」と言ったように、天性の演技力を発揮してくれるものと思っていたのだが、どうやら様子が違う。

bc98d5d3f5f37dd8ba9b43759c9eff9eタムソを演じるイム・ジヨン(写真/韓国SBS『テバク』公式サイトより)

イム・ジヨンの単調な表情

ヨ・ジングの演技には、どうも表情に冴えがない。彼の持ち味がうまく出ていないのである。

大先輩の俳優たちに気後れしたのか。

子役からの脱皮を意識しすぎているのか。

まだ序盤なので早々に判断するのは酷なのだが、うまくドラマの流れに乗り切れていない感じがする。勘がいい俳優なので、今後の修正に期待したいのだが……。

もう1人のイム・ジヨン。彼女がどういう意図でチャン・グンソクの相手役に選ばれたのかはわからないが、タムソ役に合っていないような気がしてならない。

タムソは女性ながら剣の達人という設定のはずだ。

しかし、ドラマの中でイム・ジヨンが見せる殺陣は切れがない。さばきも遅い。相手にすぐ切られても、相手を切るような剣ではない。映像でどう工夫しても、そこは視聴者に見抜かれてしまっている。

表情も単調だ。緊張感の中でカメラの前に立っていることがすぐにわかる。これでは、感情の微妙な動きを表現することはできない。彼女が出てくると興ざめしてしまうのは、果たして私だけだろうか。

過去に、前半の演技がぎこちなくても、後半になって見違えるような演技を披露した女優はいくらでもいる。

イム・ジヨンもそうなることを願いたい。

離れた視聴者を呼び戻せ!

55fb7027404f041c1de23f896dcb5981体当たりで熱演するチャン・グンソク(写真/韓国SBS『テバク』公式サイトより)

第1話と第2話で重厚な歴史劇として展開した『テバク』は、第3話以降に物語の主軸が若者たちに移った途端、ラブコメのような軽い調子になった。

これは、テギルの成長を示すために必要な設定だったのかもしれないが、本格時代劇を楽しんでいた中年以降の視聴者に、チャンネルを替えるきっかけを与えてしまったかもしれない。

結果的に、パク・シニャンという大物俳優が主役を演じる『町の弁護士チョ・ドゥルホ』が視聴率を伸ばすことになった。彼のドラマなら中年以降の視聴者も安心して画面に集中することができるだろう。

そのパク・シニャンが象徴しているように、ドラマがヒットするかどうかは、主役がいかに物語を面白い方向に引っ張っていけるか、にかかっている。それだに、『テバク』ではチャン・グンソクの役割が重要だ。

彼は前2作(『ラブレイン』と『キレイな男』)の視聴率が悪かった。それだけに、『テバク』には期するものがある。とはいえ、このまま『テバク』の視聴率が良くないと、韓国におけるチャン・グンソクの存在感が軽くなってしまう。そんな姿は見たくない、というのがファンの率直な気持ちだろう。

まだ第6話が終わった時点である。残りは18話もある。

チャン・グンソクよ。離れた視聴者を呼び戻せ。視聴率をもう一度上昇気流に乗せてくれ。君ならできる。俳優生命をかけて巻き返し、『テバク』を本当に「大当たり」にしてみせてほしい。

(文=「ロコレ」編集部)

コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/

 

2016.04.16