第4回 俳優と歌手の活動を両立
超人的な過密スケジュール
チャン・グンソクはどんな仕事にもプライドを持って取り組んできた。特に、『美男<イケメン>ですね』の大成功以降、彼の活躍の場は俳優に加えて音楽やエンタテインメントのジャンルにも広がった。
まずは俳優としての活動。2010年には『メリは外泊中』に主演した。このドラマの撮影当時、チャン・グンソクはとてつもなく忙しかった。ハードな撮影の合間を縫って日本ツアーが企画されていたのだ。過酷で知られる韓国ドラマの撮影をこなしながらのツアーは無理だと、所属事務所は中止を提案した。
しかし、彼は「待っている日本のファンに会いたい」と願い、ツアーを強行した。ステージでは辛い素振りを見せなかった彼だが、公演中3回も点滴を打っていた。やはり、疲労の極致だったのだ。
そんなハードな日程の中で『メリは外泊中』の撮影を終え、ドラマは韓国で2010年の11月から12月にかけて放送された。
2011年になると、音楽の活動が増えた。5月に日本で発売した初のシングル『Let me cry』は、発売初週に約12万枚を売り上げ、見事オリコン1位を獲得した。海外の歌手がデビュー曲で1位を獲得するのは初めてのことだ。
チャン・グンソクの活躍はドラマや歌だけに留まらない。彼は、日本の人気雑誌『メンズ ノンノ』の9月号の表紙に起用された。この雑誌で韓国芸能人が表紙を飾ったのは初めてで、改めて彼の人気の高さがうかがえる。
ただし、チャン・グンソクが日本で雑誌の表紙を飾ったのは初めてではない。彼は3月にも『アンアン』の表紙を飾っていた。この号は普段よりずっと多い28万部を売り上げて話題を集めた。
ファンをウナギと呼ぶ理由
チャン・グンソクはネットを通してファンと一つの約束をした。
「雑誌が完売したらスピーカーをセットしてやる! ウナギたちの力を見せてみろ!」
チャン・グンソクが日本のファンをウナギと呼ぶようになったきっかけは、主演映画『待ちくたびれて』の撮影中に、日本のファンがウナギを差し入れたこと。それ以来、チャン・グンソクは日本のファンをあえてウナギと呼び、ファンも喜んでそのニックネームを受け入れた。
次に、「雑誌が完売したらスピーカーをセットしてやる!」の意味だが、雑誌は『メンズ ノンノ』のことで、「スピーカーをセットする」というのは、得意のシャッフルダンス(両足を交互に出し入れするダンス)を披露することなのだ。要するに、雑誌が完売したらダンスを披露することを約束したわけだ。
肝心の『メンズ ノンノ』はわずか2日で売り切れ、チャン・グンソクはソウル駅で約束を果たした。もちろん、韓国でも大きな話題となった。
7月27日には、初の公式写真集を3冊同時発売。初週でオリコン書籍ランキングの1位と2位を独占した。『Let me cry』と同じく、男性写真集が発売初週に1位と2位を独占したのも史上初の快挙である。
また、7月から8月にかけて、チャン・グンソクが出演した映画4本が「チャン・グンソク祭」としてシネマート六本木で上映された。その4本は『待ちくたびれて』『ドレミファソラシド』『楽しき人生』『赤ちゃんと僕』。週替わりで公開されたので、ファンは毎週、スクリーンのうえで憧れのスターと会えた。
とにかく、「チャン・グンソク祭」は、彼がどのように俳優として成長してきたかがよくわかると大盛況だった。その人気を受けて、大阪や北海道でも映画が公開された。
『メリは外泊中』のファンイベントにムン・グニョンと一緒に登場
本人とファンの幸福な時間
2011年8月17日、チャン・グンソクは主演ドラマ『メリは外泊中』のファンイベントに参加するため、羽田空港に姿を見せた。
彼が到着ゲートに出てきたのは午前11時半頃。このときは、報道陣に向かって「お久しぶり~」と日本語で呼びかけ、笑顔をふりまいた。
さらに、「眠い」と言って、手で口を押さえてアクビをこらえるパフォーマンスを見せた。このあたりの茶目っ気は、天真爛漫な性格を思わせる。食べたいものとして「お寿司」をあげ、「行きたい場所はどこ?」と報道陣に尋ねられると、「秘密」と言ってニッコリ笑った。
その後、800人のファンが待つ到着ロビーに姿を現したチャン・グンソク。サングラスをずらして掛けてみたりして、さまざまなポーズでファンサービス。さらなる歓声を浴びていた。
182センチの長身でありながら、愛くるしくて表情が豊か。ちょっとした動作を見ていても、チャン・グンソクは本当に魅力たっぷり。それでいて、ファンをとても大切にするし、日本で大ブレークしたのもよくわかる。
来日したチャン・グンソクは、ムン・グニョンを初めとする『メリは外泊中』の共演者と一緒に、8月18日の東京・日本武道館、8月23日の大坂城ホールでのファンイベントに出演した。
ファンの熱狂ぶりをステージ上でじかに受け止めたこともあって、ライブでのチャン・グンソクもノリノリだった。彼は「お気に入りのシーンは?」と尋ねられると、日本語できっぱり言った。
「キスシーン。いっぱい練習もしました」
この発言には会場もドキリ。「果たしてどこで練習したの?」とファンは気が気でなかったが、当のチャン・グンソクは大胆発言のあとで「冗談。マイケル・ジョーダン」とジョークを飛ばし、会場を笑いに包んでいた。
さらに、とっておきのパフォーマンスを見せてくれた。『メリは外泊中』といえば、「カン・ムギョル バンド」がカッコよかったが、今回のファンイベントでもバンドを率いて『お願い、My Bus!』などの曲を披露。会場を大いに盛り上げた。
それだけではない。チャン・グンソクはヒロイン役のムン・グニョンを相手に朗読劇を行ない、俳優としての自分もしっかりアピールしていた。
なによりも、『メリは外泊中』の共演陣とひさしぶりに楽しい時間を過ごすことができて、彼は心から幸せそうだった。そういうチャン・グンソクを見ている瞬間が、ファンにとっても幸福な時間なのである。
(文=「ロコレ」編集部)
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