韓国を代表する実力派シンガー K.willが、自身にとって初となる名古屋での公演を含む東名阪ツアー「K.will JAPAN TOUR 2016」を開催した。
ツアー初日の東京公演は、2016年3月11日(金)東京・ドームシティ-ホールにて幕を開けた。
今回のツアーは、韓国で好評を博した「ケデバク」コンサートのファイナル公演と銘打たれ、韓国での活動にも関心を高く持つ日本のファンから大きな期待が寄せられた。
「メノナム(マナーをわきまえているスマートな男性)」をコンセプトに、スタイリッシュなダブルのストライプのスーツ姿でK.willがステージに登場すると、客席からは「待ってました」とばかりに歓声が飛び、K.willもイントロから「ソリジッロー(叫べー)!」とハイなテンションで煽る。
今回は生バンドによる演奏をバックに、ダンサーを引き連れた豪華なステージ。コーラス・ワークも華やかな「LAY BACK」「BON BOYAGE」というアーバンな2曲で口火をきった。
「お会いできてうれしいです、皆さん!2016年K.will日本ツアーにようこそ!」というあいさつから、ファンの期待値も高い最初のMCタイムへ。ここ数日の東京の雨模様を受けて、「日本の天気も僕を歓迎してくれています!僕は誰?」と客席に問いかけると、「雨男ー!」というお決まりのフレーズが返ってくる。
これまでのライブでも欠かすことなく雨が降ったというK.willの定番のトピックだ。
韓国で大流行したイギリスのスパイ映画「キングスマン」から、今回のコンサートのコンセプトの発想を得たというK.willは、ヘアスタイルもイメージチェンジして金髪になっている。
「よく似合うと思う人?すぐに変えろ、という人?」と客席に反応を求めると、どちらにも同じくらいの拍手が起こり、「韓国でのコンサートでは、ほとんどの人が“すぐに変えろ”の方に手を挙げました」と苦笑い。
「とにかく、僕はマナーがいいですよね?皆さんのマナーにも期待して来ました」とアピールし、「皆さんはいつも僕に良いエネルギーをくれるので、今日も楽しく遊びましょう!」とコンサートのスタートを宣言した。
「春なので、春の歌を歌いたいと思います」と「LOVE BLOSSOM」を披露し、会場をさわやかな雰囲気で包んでいく。
続く「付き合ってみよう」の曲中では、K.willが客席へ降り、真っ赤なバラを1人のファンに直接プレゼントし、その場で2ショットチェキを撮るという熱いファンサービスも。
ステージをずっと立って見ているファンには「皆さん、足は大丈夫ですか?」と気づかいを見せながら「遠くからいらしたお姉さま方もいると聞いています。お姉さま方、大変だったら座ってもいいんですよ?」というユーモアも忘れないK.will。
「もうすぐホワイトデーですよね?告白を準備している男性がいるかもしれません。僕が歌った歌が、そんな方に勇気に与えるきっかけになればいいなと思います」とし、「そして告白が成功したらどうなりますか?恋愛しますよね。恋愛したらどうなりますか?別れます(笑)皆さん、たくさん恋愛して、たくさん別れて、僕の歌をたくさん聞いてください!悲しいバラードがたくさんあるので(笑)」と自身の明るい告白ソングから切ないバラードまでのアピールにも余念がない。“面白い”と定評のあるMCはこの日も絶好調だ。
「皆さんの別れのなぐさめになるような歌をお聴かせします」と雰囲気をガラリと変えてバラード曲の「1秒に1しずく」と「花が咲く」をしっとりと聴かせ、「バラード歌手がとても好きな雰囲気になってきましたね」とじんわりと余韻の残る会場を見渡しながら、K.will自身も満足げな表情をのぞかせた。
続けて「日本で公演をする時は、いつもイベントを考えているのですが、今回は今までとは少し違うプレゼントを準備してきました」と、韓国でのセカンドアルバムに収録された「恋しくて恋しくて恋しい」を日本語バージョンで初披露した。最初のサビのパートはアカペラで歌い上げ、感性に訴えかける歌唱力で切ない思いをつづった歌詞を響かせた。
ステージの合間の映像は、K.willが「マナーのある男」として女性たちの気を引くために奮闘するというシチュエーションのショートドラマ仕立て。その中でK.willもコミカルな演技を見せ、会場の笑いを誘う。
「字幕はちゃんと見えましたか?」と2階3階席のファンへの心づかいも忘れず、映像の中で表現された男同士の友情「ブロマンス(ブラザー+ロマンス)」や、「ソゲティン(1対1の合コン)」といった韓国で流行している文化についてもわかりやすく解説をいれる姿はまさにジェントルマン。
ピンクのふんわりとしたニットに衣装をチェンジし再登場し、「左手を繋いで」「彼の作曲」を2曲続けて披露した。「左手を繋いで」はウエディングソングということで、曲にちなんで先日結婚したばかりというバンドメンバーを紹介した。
「イロジマチェバル」「あの時もしも」と更に情感のこもったスローテンポの曲が続き、会場もうっとりと聴き入る。
また雰囲気を一転させ「PRESENT」という曲では客席後方から登場し、ファンを驚かせると明るいリズムに合わせて、客席とのコール&レスポンスを楽しんだ。「出かけると厄介だよ」というアップテンポの曲で続け、ダンサーと軽やかなステップも披露する。「皆さん、ひざ大丈夫?」と確認してから、ジャンプを煽り会場の一体感も増していく。
そのハッピーな雰囲気のまま「チョンスロプケウェイレ」から「君はとても綺麗」「今日から1日」「君が必要だ」まで、息つく間もなくダンサブルなナンバーのメドレーで駆け抜け、客席からも大きなシンガロングが巻き起こった。
最後のあいさつに「今日は僕と一緒の時間を過ごしてくださって本当にありがとうございます。今年も日本にたびたび来られるんじゃないかなと思ってます。楽しみにしていて下さい」と会場へ感謝の気持ちを伝えるK.will。
そしてこの日は3月11日。「初めてバンドと一緒に日本で公演をした時のことを覚えています。それがちょうど5年前でした。今日がどんな日かということをわかっています。5年前の皆さんに大きな痛みを与えたその日ですね。その年の公演でもお伝えしていたことですが、これからも僕の歌が少しでも皆さんの心のなぐさめになればうれしいです」と歌で多くの人の心に寄り添っていきたいという思いを語った。
更に「楽しいことをやることになりました」と、初めてミュージカルにチャレンジすることを発表。公演当日はまだ韓国でも発表されておらず、会場は驚きに大きく沸いた。
また、現在韓国で放映中の人気ドラマ「太陽の末裔」で流れているOSTの音源も近々発表されることも合わせて告げられ、2016年もK.willの歌声が様々な場所で聞けることがファンに約束された。
本編最後は生バンドならではの臨場感あふれる演奏に合わせ、「涙ぽろぽろ」でしっとりと締めくくられた。
客席からの大きな「アンコール!」の声で再びステージに戻ったK.willはファンへの手紙を日本語で読み上げた。
「皆さんのおかげでまたこうして幸せな時を過ごしています。少し前に僕はデビュー9周年を迎えました。韓国でも日本でも忘れられない思い出がたくさんあります。僕たちは一緒に笑ったり泣いたりしましたね。今では多くのことに慣れてきましたが、皆さんの歓声や応援はいつも新鮮に僕を包みます。この感謝の気持ちやうれしい気持ちのおかげで、今皆さんに自信をもって言うことができます。これから先10年周年を迎え、20年30年経っても、こうしてここで歌を歌っていたいと思います。これからもよろしくお願いします。今日はこの曲で僕の気持ちを皆さんに届けたいと思います」と、「君のそばに」というラブソングを披露。曲のクライマックスではマイクを口元からはずし、思いを込めた自身の声だけで歌をファンに届けた。
「皆さんにはたびたび僕の姿を見てほしいですが、離れているとつらくなったりもしますよね。でも離れている時間も、楽しいこと、楽しい歌、楽しいステージを準備していますので、今年もずっと楽しみにしていてください」と締めくくり、共にステージを盛り上げたバンドとダンスのメンバーを紹介した。
ラストは「LOVE119」から「胸がときめく」へ続く笑顔に満ちたとびきりのメドレーで、「皆さん幸せな週末を!またすぐ遊びに来ます」とJAPAN TOUR 2016初日の幕を下ろした。
コンサート中「お会いできてうれしいです」「これからも楽しいことがたくさんあります」と何度も口にしたK.will。照明が落ちたステージ上で深く頭を下げるシルエットにも、ファンへのまごころが感じられた。歌手デビュー10周年を目前に控え、そのジェントルな姿に更に磨きをかけ、新しいことにチャレンジしていくK.willの魅力はまだまだ尽きない。
取材:Korepo(KOREAREPORT INC)
協力:JAKOL CORPORATION
Photo:ユ テヒョン
【PROFIlE】
K.will (本名:キム・ヒョンス) 生年月日:1981年12月30日 身長:178cm 血液型:O型
代表曲:「胸がときめく/カスミティンダ」「ソンムル/贈り物」「Love Blossom」「今日から1日/オヌルブトイリル」「なみだぽろぽろ/ヌンムリトゥクトゥク」「花が咲く/コチピンダ」等
・K.will 日本公式ファンクラブ http://k-will.jp/