【K-POP NOW+】「東方神起」「少女時代」を生んだイ・スマンが帰還…新人グループがわずか29時間でMelon首位、その戦略とは?

9人の少女たちが、韓国最大級の音楽配信サービス「Melon」の頂点に立つまで、わずか29時間だった。その主役は、SMエンターテインメント(以下、SM)を築き上げた「K-POPの父」イ・スマンが、約3年ぶりに韓国市場へ送り出した新人ガールズグループ「A2O LITE」だ。

「東方神起」「少女時代」「BoA」「SHINee」など、数々の人気アーティストを世に送り出してきたイ・スマン。その復帰を告げる最初の成果が、デビュー直後の音楽チャートで示された。

16日、A2Oエンターテインメントによると、「A2O LITE」のデビュー曲『NEON』は、14日午後11時にMelonのTOP100チャートで1位を獲得した。13日午後6時の音源公開から、わずか29時間での快挙となった。2021年にMelonのTOP100チャートが導入されて以降、新人グループのデビュー曲としては異例の速さでの首位獲得となる。

同じ13日にデビューした15人組ボーイズグループ「A2O SOUL」の先行公開曲『SUPERSTAR』も音楽チャートにランクインし、2組そろって好調なスタートを切った。

海外での反応も目覚ましい。『NEON』は韓国のApple Musicや、イタリア、マレーシアのiTunes総合チャートなど、8つの国・地域で1位を獲得。中国最大級の音楽配信プラットフォーム「QQ Music」では、新曲チャートと人気曲チャートの両方で首位に立った。一方、「A2O SOUL」の『SUPERSTAR』もQQ Musicの新曲チャートで3位を記録した。

デビュー直後から国内外のチャートで存在感を示した2組。しかし、今回の動きで注目すべきなのは、その数字だけではない。イ・スマンが韓国市場への復帰にあたり、どのような音楽と戦略を打ち出したのか。その構想には、SM時代から貫いてきた制作哲学と、新たな技術への挑戦が込められていた。

■「歌手にとって最も重要なのは曲」…20分間のプレゼンテーションで示した新たな構想

2組のデビューを翌日に控えた12日、イ・スマンは自らステージに立った。キョンギド(京畿道)コヤン(高陽)市のKINTEX第2展示場で開催されたグローバルデビューショー「WELCOME TO SOULITE From A2O SOUL A2O LITE」で、約20分間にわたるプレゼンテーションを行った。2023年2月にSMの株式14.8%をHYBEに売却した際に結んだ、3年間の競業禁止契約が終了して以降、韓国国内の公式イベントに初めて姿を現した場でもあった。

そこでイ・スマンが最初に強調したのは、音楽の原点ともいえる「曲」の重要性だった。

「K-POPグループが『歌手』と呼ばれる以上、結局、最も重要な出発点は『曲』だと思います。曲から始まり、ダンス、ミュージックビデオ、パフォーマンスへとつながるすべてが、これまでとは違うと感じられるものでなければなりません」

さらに、「ただ違うというだけでは十分ではありません。その結果として生まれたものを、多くの人が気に入り、愛してくれるところまで実現しなければなりません」と語り、独自性だけでなく、多くの人に支持されることの重要性を強調した。

新会社の名前にも、イ・スマンの哲学が込められている。A2Oは「Alpha to Omega(アルファ・トゥ・オメガ)」の略称で、始まりと終わりがつながり、終わりが再び新たな出発点になるという意味を持つ。

イ・スマンは、SM時代から提唱してきた「カルチャー・テクノロジー(CT)」という概念も改めて打ち出した。今回披露したのは、「4DGS(4D Gaussian Splatting/4Dガウシアン・スプラッティング)」と呼ばれる技術だ。複数のカメラでアーティストの動きを同時に撮影し、そのデータを組み合わせて3次元空間に再現する仕組みで、撮影後も視聴者が好きな位置や角度からパフォーマンスを楽しめるという。

この技術は、「A2O LITE」と「A2O SOUL」のミュージックビデオにも取り入れられている。イ・スマンは、「少女時代」の『The Boys』や、「BoA」「東方神起」「SHINee」のミュージックビデオに使用された「マトリックスカメラシステム」を自身が直接開発したと紹介し、今回の4DGSをその延長線上に位置付けた。そして、「今は技術を使って何をするかを考えるよりも、何を記録し、何を未来に残すのかを考えるべき時期です」と強調した。

ファンとの交流方法にも、新たな取り組みを導入する。A2Oエンターテインメントは、独自のコミュニケーションプラットフォーム「Blooming Talk」を公開。10月末には、アーティストとファンが顔を合わせて会話できるビデオトークを開始する予定だ。さらに、多くのファンが同じ空間でリアルタイムに参加する「インタラクティブ・ライブトークショー」へと発展させる構想も明らかにした。

ただし、K-POP市場にはすでに「Weverse」や「Bubble」といったファン交流プラットフォームが定着している。こうした既存サービスとの差別化も、今後の課題となる。

■「少女時代」と同じ9人組…「BoA」を思わせるメンバーにも注目

ガールズグループとボーイズグループが同時にデビューする中、まず強い存在感を示したのは「A2O LITE」だった。メンバーは、ヨン、オア、アユン、アイチン、ヒメキ、ラダ、シリ、ボラ、メルシーの9人。2007年にデビューした「少女時代」と同じ人数で構成されている。メンバーは2008年から2013年生まれで、全員が10代だ。

デビューステージが公開されると、オンライン上ではメンバーのアイチンについて、若いころの「BoA」を思い起こさせるという反応が相次いだ。「BoA」は2000年、満13歳でデビュー。韓国人歌手として初めて日本のオリコンアルバムチャートで1位を獲得するなど、「アジアの星」として活躍してきた。

音楽制作の中心を担うのは、イ・スマンとSM時代から長年タッグを組んできたプロデューサー、ユ・ヨンジンだ。「A2O LITE」の『NEON』は、重厚なベースサウンドにメンバーたちのハーモニーやアカペラを重ねた楽曲。Z世代とアルファ世代をターゲットにした「Zalpha Pop(ザルファ・ポップ)」を掲げている。

一方、「A2O SOUL」の『SUPERSTAR』は、レトロなシンセサイザーサウンドを前面に押し出した「ニュー・シンセウェーブ」ジャンルの楽曲だ。ジャスティン・ビーバーとザ・キッド・ラロイのヒット曲『STAY』の制作に参加したHANNをはじめ、海外のプロデューサー陣も楽曲制作に加わった。

こうした音楽制作の方向性には、イ・スマンがデビューショーで語った「最も重要なのは曲」という考え方が反映されている。

■グループの枠を超える新戦略…イ・スマンが描くK-POPの未来

「A2O LITE」と「A2O SOUL」は、「ACE(A2O Cosmic Epic)」という共通の世界観でつながっている。舞台となるのは、あらゆるものがそろっている一方で、愛やときめきが薄れてしまった惑星「SOULITE」。そこで、人々を生き生きとさせる「SOUL」を探し求める物語が展開される。

活動形態も、従来のグループという枠組みに固定しない。ユニットやソロ、プロジェクトチームなど、メンバーの組み合わせを柔軟に変えながら活動の幅を広げていく方針だ。

A2Oエンターテインメントは、これに先立つ2024年12月、中国でガールズグループ「A2O MAY」を先に披露している。今回の2組のデビューは、こうしたグローバル展開をさらに拡大する動きとしても位置付けられる。

「A2O LITE」と「A2O SOUL」は15日、Mnetの音楽番組「M COUNTDOWN」で初のテレビ音楽番組ステージを披露し、本格的な活動をスタートさせた。

イ・スマンはデビューショーで、自身が最も望んでいる反応について、こう語っている。

「実は、何よりも望んでいるのは『ああ、いいね!』という反応が出てくることです」

数々の人気アーティストを世に送り出してきたイ・スマンが、約3年ぶりの韓国市場復帰で改めて掲げたのは、楽曲の力を原点としながら、最新技術と新たな活動形態を組み合わせる構想だった。

デビュー曲の公開からわずか29時間でMelonの頂点に立った「A2O LITE」。その鮮烈なスタートが一時的な話題にとどまるのか、それとも新たなK-POPの潮流へとつながるのか。イ・スマンが送り出した次世代アーティストたちの真価は、これからの活動を通じて問われることになりそうだ。

 

WOW!Korea提供

2026.10.16