芸能生活を揺るがす“AIのうわさ”、韓国芸能界を襲う危機…法的対応は意味がない?


「芸能人にとって、イメージはまさに命です。ディープフェイクのうわさは、そのイメージを一気に倒す可能性があります。」

最近、芸能界が“AI捏造(ねつぞう)物”による初めての危機と向かい合っている。真否が確認される前に、イメージが毀損(きそん)されて世論は急変し、活動は中断される。過去、うわさの拡散は今のように早くも、波及力も脅迫的ではなかった。しかし、今後はたった数枚の合成イメージが“本当のように見える証拠”に化けて、芸能人の生計を揺るがしている。

俳優イ・イギョン、モデルのムン・ガビ、俳優イ・ジョンジェら相次ぐ被害事例が続き、この事態はこれ以上“1、2人の不運”ではない、エンターテインメント産業全体のリスクへと広がっている。

〈捏造は一瞬、波紋は長く‥AIのうわさがなぜ危ないのか〉

AIの捏造は、単純な“うわさ生成”の次元を大きく超えた。最も代表的な事例は、イ・イギョンのプライベートのうわさだ。ある海外女性のSNS投稿から始まった疑惑は、イメージ・映像・対話まで瞬く間にAI合成物として拡張されて、取り留めなく拡がった。この女性は、ひと足遅れて「AIで捏造した資料だった」と謝罪したが、すでにイ・イギョンは2つのバラエティー番組から降板した。捏造は瞬く間だったが、打撃は彼の今後の活動にまで影響を残した。だが最近になって、女性は、「(告訴)されなかった。認証ショットを公開しようか悩み中。このまま終わるのはちょっとあれだ。AIじゃなくて何か悔しい」と立場を翻し、波紋を呼んでいる。

またムン・ガビの事例も類似する。息子の後ろ姿を公開するとすぐに、誰かがAIを利用して前からの姿を生成し、オンラインで広めたのである。これは、単純なイメージ操作ではなく、家族のプライバシー領域を侵したデジタルストーキングに近い。ムン・ガビが強く怒った理由だ。

さらにイ・ジョンジェは、より直接的な被害事例だ。彼の顔を合成したAIの身分証が、ロマンス詐欺犯罪に悪用されて実際に被害者まで発生した。事務所のアーティストカンパニーは、直ちに立場文を出して「当社の俳優の顔と音声が、AI技術を利用して捏造された虚偽映像が流布しており、これは明白な違法行為」とし、刑事告訴を予告した。この事件は、AI捏造物が単純なイメージ毀損を越えて、犯罪手段として悪用され得るという現実を見せてくれる。

芸能人にとって、“イメージ”という存在の基盤である。AI捏造物は広告契約、今後の作品オファー、ファンからの信頼度、グローバルブランドの価値まで、長期的な波紋を残す。拡散は秒単位だが、回復には何年もかかる可能性がある時代が、渡来したことになる。


〈芸能事務所が対応するには、とても早い‥業界内部が伝える現実的限界〉

エンタメ業界は、すでに告訴・告発中心の対応体系を取り揃えている。しかし、今のAI技術は芸能事務所の自力対応だけで対応しにくい、という評価が支配的である。

ある業界関係者は、「業界みんなが、これを非常に深刻に見ている。AIで生成された虚偽コンテンツが、実際のように精巧になりながら、肖像権と名誉が大きな被害を受けている。私どもは法務チーム中心に即時告訴・告発体系を維持している」と伝えた。

しかし、彼はまっすぐに業界が処した“構造的限界”をついた。「AIの拡散速度がとても早くて、一般人も容易にディープフェイクのコンテンツを作ることができる環境です。事務所だけの努力では限界があります。ファン情報の提供、プラットフォームのモニタリング強化、政府規制が一緒におこなわれてこそ、実質的対応が可能です。」

この言葉はまさに、ディープフェイク対応は、エンタメ業界だけの問題ではなく、生態系全体の問題という意味だ。

特に、プラットフォームの役割不在が、最も大きいリスクに挙げられる。AIコンテンツを流通・拡散させる構造が放置されて、芸能人保護体系は“事後対応”にとどまっている。業界では、次のような制度的装置が至急であると口を揃える。

(2ページに続く)

2025.11.20