◆古谷さんに伺います。 『ろくでなしコーラス』は一見、陽気で元気なドタバタ劇にみえますが、実は 「どんなに心は完全なLadyでも子供が産めないという現実への苦しみ」や、「家族や周りの人たちになかなか自分の気持ちを理解してもらえない寂しさ」などが しっかりと描かれています。この作品からどのようなことを感じ、どのようなことを伝えたいですか?
古谷大和:みんなそれぞれ抱えているものがいろいろありますが、この作品には何か心に刺さるようなものが散りばめられていると思っています。誰かのキャラクターの中に共感する部分があったり、境遇は違うけれど気持ちを理解できたり。 例えばお店に入って店員さんと話すのが苦手とか、本当に些細なことでも人って生きづらくなってしまうことがありますよね。大小にかかわらず悩みを抱えている人が何かに向かって一生懸命頑張っている姿って、心打たれるものだと思っています。演劇は人生においてマストな存在ではないのですが、演劇を観たことがきっかけで苦手なことや新しいことにチャレンジしてみようという勇気をもらえたりすることもあると思うんです。演劇を観て雨が降らない街に雨を降らすことは出来ないけれど、誰かの人生がほんの少しでも豊かになる可能性があるから、僕は演劇が好きなんです。この作品はその可能性を大いに秘めていると思っているので、ご覧になったあと少し温かい気持ちになって少し笑って帰っていただければと思っています。
◆アンジェは「強気な部分」と「とても繊細な部分」が混在していますが、グァンスさんはアンジェをどのような人物だと理解していますか?
グァンス:まさにその通りです。とても不器用な人だなっていうのが一番の印象です。その不器用な部分や自分の中で一生懸命闘っていることを、アンジェは一切人前では出さないんです。でも、店の仲間や常連たちと出逢って「もうこんなに悩まなくていいんだ。闘わなくていいんだ。失敗する中にも夢はあるんだ」っていうことに少しずつ気づいていく姿を描きたいと思っています。 少しでも自分の思ったその気持がご覧になるみなさんに届くよう、頑張って本番に臨みたいと思います。
◆ユジュンさんが演じるレパード玉鹿のセリフには、普段のユジュンさんのイメージとはだいぶ違うなかなか強烈な言葉がたくさん出てきますが、ユジュンさん的にいかがでしたか?
チャン・ユジュン:セリフの意味がよくわからないこともあったので、どんな意味かを教えてもらって、その言葉をキチンと理解してお稽古しています。今回は言葉づかいも違うのでちょっと難しかったです。でも面白くて楽しいシーン、キャラクターなのでそれを少しでもうまく表現したいと思い、周りのみなさんにいろいろ相談したり教えてもらったりしています。
◆引き続きユジュンさんに伺います。『ろくでなしコーラス』は同じグループのTRITOPS*のウゴンさんが前回アンジェ役で出演しています。ウゴンさんから何かメッセージやアドバイスはありましたか?
チャン・ユジュン:歩き方とかに気を付けるようにとアドバイスをもらいました。あとはメンタル面ですね(笑) まずビジュアル撮影で一回メンタル崩壊しかけるからって言われました(笑)それを聞いていたので撮影では崩壊しないように(笑)心がけました!
◆瀬下さんというと 別の作品で涼風せいらママとして長く愛されてきました。せいらママと今回のママ役をどのように演じ分けようと思っていますか?
瀬下尚人:せいらママを演じた作品では周りがみんな若かったので、周りの速いテンポをせいらが崩してほしいと言われていました。なのでみんなが勢いよくセリフを言う中、一人ゆっくりと話すようにしたりしていました。 笑いをとるキャラではないのですが、真面目にやればやるほど面白い、そんな役でした。今回はまずそれを引きずらないということを一番意識しました。 実は僕、まだ若かった役者下積み時代にオネエと呼ばれるママにお世話になって助けていたいたり一緒に働いていたことがありました。あの時、彼女たちの姿をずっと見て来たので、昔こういう人がいたなとママたちの姿をなぞってヒントにして演じています。
◆瀬下さんは沢田研二さんに似てることからJURIさんというニックネームをお持ちですが、この劇には沢田さんモチーフの、ジュリー役があります。どのように思いましたか?
瀬下尚人:JURIは学生の頃ついたニックネームなんですが、ジュリーのできそこないなんでJURIって短いんです(笑) 僕の名前、瀬下(せしも)ってあまり呼んでいただけず、よく瀬下(せした)さんって呼ばれたりしたのでJURIで覚えていただいています。 田淵くんはジュリーをまったく知らない世代なので、どんな人だったのか、どんな格好をしていたのかとか聞かれ、いろいろお話ししました。
◆そんなジュリー役の田淵さんは今回の役を演じるにあたり、沢田さんの過去のVTRなど、何かご覧になったり参考になさったりしたものはありますか?
田淵累生:YouTubeで調べたのですが、歌っている姿くらいしか見当たらなくて。JURIさん(瀬下)に伺ってポーズとか教えていただきました。なので僕が演じるジュリーはすべてJURIさん仕込みです!!
◆YouTubeで沢田さんを観たり瀬下さんにいろいろ教わったりして、何か演技の中に取り入れたことはありますか?
田淵累生:演技に取りいれたというか、台本に「モノマネで」って書いてあるくらいなので、教えていただいたそのまま、沢田さんのマネで演じている感じです。
◆栗原大河さんが演じるコッペちゃんはとてもかわいい愛されキャラですが、実は大きな悩みを抱えています。栗原さんはコッペちゃんをどのように演じようと思っていますか?
栗原大河:人によって感じ方とか捉え方とか重さって違うと思うのですが、コッペは借金を抱えて「どうしよう…」という悩みがストレスになっている人物です。でも、他のキャラクターたちがもっと重い悩みを抱えているので、逆にコッペの悩みを重たいとは感じずに悩みの1つ、きっかけ程度だと捉えています。僕としてはこの作品では他の人の大きな悩みの部分をしっかり見せることが大事だと思っているので、コッペの行動や発言で感動を与えようとかは意識せず、コッペがアキラさんたちと一緒にいることができるきっかけの1つが借金なのだと考えています。
◆コッペちゃんは 途中、闇金の島袋と二人で、ちょっとあらわな姿で登場します。 このシーンを知った時はいかがでしたか?
栗原大河:あのシーン、ちょっと不思議なんですよね。なぜか歌ってるし(笑) でも台本を読んだ時、思わず「この恰好はNGですよ~!」って言いました(笑) 実際どうするかはこれからの話し合いです(笑)
◆ひろりんは、人に言えない趣味嗜好や仕事、家庭など悩み多き人物ですが、谷田部さんはひろりんをどのように演じようと思いますか?
谷田部俊:僕自身、わりとすぐに悩むタイプなので、あまり演技ということを意識せず、そのまま演じればいいかなって思っています。
◆谷田部さんもまた、途中でちょっとセクシーな姿で登場しますが、台本を見た時どのように感じましたか?
谷田部俊:今まではこの台本のままのセクシーな姿で舞台に立つつもりだったのですが、今日みなさんの姿を見たらあまりに綺麗なので、せめて…スネ毛は剃ったほうがいいかなって思いました(笑) 僕のセクシーなシーンの姿がビジュアル的にこの舞台のマイナスになってしまうといけないので、もしかしたらちょっと綺麗にしてくるかもしれません(笑) せっかくなら綺麗に見られたいですからね(笑)
◆mocaさんに伺います。先日惜しまれながら解散したlol のグループ名の意味は「 laugh out loud」(大声で笑う)で、そんな素敵なグループ出身のmocaさんは今回の舞台にピッタリだと感じました。 mocaさんは今回の舞台の魅力はどのようなところだと思いますか?
moca:みなさんの個性豊かなところです。そして物語の中でひとりひとりフューチャーされる部分があるので、ストーリー全体を通して共感できるところがみなさんそれぞれ違うだろうなと思いますし、そこがポイントになるのではと思っています。
◆mocaさんが演じる千秋はアキラを「お母さん」として認めたい反面、心の葛藤で素直になれない部分があります。この心情をどのように演じて伝えたいと思いますか?
moca:本当に難しいです。 100%受け入れないということではなく、アキラさんがかけてくれていた愛情や優しさに気づいていながらも素直になれないもどかしさを丁寧に感じ取りながら、しっかり演じられたらいいなと思っています。
◆古谷さん、グァンスさん、ユジュンさん、瀬下さんは、お稽古場以外の場で ついついお姉さん言葉や仕草が出てしまったエピソードなどはありますか?
グァンス:座っている時とかにありました!いつもだと脚を広げて椅子に座ったりしているのに、この前、家の食卓でごはんを食べようとした時、綺麗に脚をそろえていて(笑) 気づいたら家で何回かやっていました(笑) お稽古場では意識してそんな仕草をしていますが、今のところ外では出ていないですね(笑)
古谷大和:もしかして気がつかないうちに自然に出てしまっているのかもですが、今のところは意識下でだけだと思います。セリフの量とテンポ感とが本当にすごいので、今はまだ余白を埋める作業とか自分たちで遊びを作っていけるような段階ではなく土台を固める作業中です。この先、なんでもないところにアドリブで「ちょっとアンタ!」とかやれることを目指しています。そのために稽古じゃない時、例えばコンビニに一緒にいったり飲み物を飲んだりしている時、意識して言葉や仕草を取り入れるようにしています。なので出てしまうのではなく、意識して普段からやるようにしています。 物の触り方とかにマニキュアしてることを意識したり。
ユジュン:僕はセリフを覚えることでいっぱいいっぱいで、まだそこまではいってないですね。
瀬下尚人:僕も今のところは無いですが、以前ママ役をやっていた時は常に「InにInに」なっていましたね。脚とか「クロス、クロス」みたいな(笑)それが今もしみついている部分はありますね。マニキュアとかしていているのを忘れて、電車のつり革につかまったり、コンビニでお金を出した時に相手に二度見されてドキっとしたり(笑) そういう経験はあります。
◆最後に みなさんを代表して古谷さんからメッセージをお願いします。
古谷大和:素敵な物語の元に素敵な人たちが集まった素敵な機会だなと思っています。この作品に携わることができて僕自身本当に幸せだと感じています。この幸せな気持ちが少しでも観劇してくださるみなさんに届くよう精一杯頑張りますので、楽しみと期待を持って是非何度でも劇場に足をお運びください。ありがとうございます!よろしくお願いします。
抱腹絶倒間違い無しなのに、涙もありで最後には温かい気持ちになれるまさにエンターテインメントな舞台!
インタビューでも話されていた誰もが悩みをもって生きているけど、この作品が観てくださる皆様の心に少しでも響いて観た後に心が軽くなる作品です。一人でも多くの方に観ていただきたい、この舞台『ろくでなしコーラス2025』はいよいよ18日(水)から22日(日)まで浅草花劇場にて上演されます。ご期待ください。
(text : Chizuru Otsuka)
―公演概要―
【公演日】 2025年6月18日(水)~6月22日(日)
【会場】 浅草花劇場 〒111-0032 東京都台東区浅草2-28-1
【開場/開演時間】
■6月18日(水)、6月19日(木)、6月20日(金)
【1部】開場 14:15/開演 15:00 【2部】開場 18:15/開演 19:00
■6月21日(土)
【1部】開場 12:45/開演 13:30 【2部】開場 16:45/開演 17:30
■6月22日(日)
【1部】開場 11:45/開演 12:30 【2部】開場 15:45/開演 16:30
【キャスト】
〔アキラ〕古谷大和
〔ママ〕瀬下尚人
〔アンジェ〕グァンス(超新星)
〔コッペ〕栗原大河
〔レパード玉鹿〕チャン・ユジュン(TRITOPS *)
〔ジュリー〕田淵累生
〔ひろりん〕谷田部俊(我が家)
〔千秋〕moca
〔杏西先生〕花井貴佑介
〔時田洋子〕伊藤わこ
〔大橋健〕テジュ
〔八尋美奈子〕村岸優希
〔島袋筋太郎〕長田健一
〔中島敦〕矢口秀
〔山下勝司〕甫滄一郎
【脚本】 田中大祐
【演出】 安藤亮司(劇団ウルトラマンション)
【音楽】 柏原収史
【チケット代】
◆S指定席 ¥9,300(税込) ※特典付(ランダムキャスト非売品生写真)
◆A指定席 \7,800(税込)
★ドリンク代別途 \500 ※4歳以上有料,3歳以下入場不可
【主催】 ライズコミュニケーション
【お問い合わせ】 [email protected]
【協力】 アイエス・フィールド/SV ENT Inc./えりオフィス/オレガ/KATANA/皇帝ロックホッパー/タイムリーオフィス/
ワタナベエンターテインメント
★特設サイト https://ticketstage.jp/roko2025/
★公演official X https://x.com/rokudenashi2025
★観劇スタンプラリー特典★
5回観劇/お好きなキャストの生写真1枚プレゼント(非売品)
7回観劇/お好きなキャストのサイン入りキービジュアル2Lサイズ生写真1枚プレゼント
9回観劇/お好きなキャストのサイン入り生写真1枚プレゼント(非売品)
10回コンプリート観劇/千穐楽2部公演前のサウンドリハーサル見学(15:10受付集合)
※10回コンプリートをS席で全通のお客様へ、オープニング曲サウンドトラック(歌なし)1曲をお好きなキャストの一言メッセージサイン入りにてプレゼント※後日発送
―STORY―
そこは多様なセクシャリティが集まる地方都市のミックスバー。
気風のいいママのもとに、子供と不仲なシングルペアレント、嫁と気まずい女装家、過去にトラウマのあるニューハーフ、借金取りに追われるゲイなど、問題や悩みを抱えた人たちが、なぜか集まってしまう場所。
しかし、最近の不況風に吹かれ、今月いっぱいで店は閉店する予定だ。
そんな中、ひょんなことからお店最後の記念として、【ママさんコーラス】に参加することに。
だが、メンバーの前に高く厚い壁が立ちはだかる・・・・・!
果たして無事に参加できるのか?
そして、それぞれの抱えている問題や悩みは解決できるのか?
【ママさんコーラス】のステージを目指し、奮闘する、最高にセクシー&ハッピーなミュージカル風コメディ!
歌とダンスとちょっぴりお下品さをブレンドした作品。たくさん笑ってホロリとさせ、最後は元気になるストーリー!