第74回ベルリン国際映画祭正式出品/第60回百想芸術大賞4冠受賞2024年韓国No.1大ヒット/墓に隠された恐ろしい秘密を掘り返すサスペンス・スリラー『破墓/パミョ』崔盛旭(映画研究者)&岡本敦史(ライター・編集者)がトークショーに登壇!
崔盛旭「韓国人の心に刺さっているトラウマを取り除く“お祓い”のような映画」岡本敦史「現実とフィクションを混同するなというメッセージも含まれている」
『オールド・ボーイ』で映画賞を総なめにした演技派俳優チェ・ミンシク、「トッケビ ~君がくれた愛しい日々~」で社会現象を巻き起こした人気女優キム・ゴウン、『コンフィデンシャル/共助』で存在感を見せつけた個性派俳優ユ・ヘジン、「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」で一躍注目を集めた若手俳優イ・ドヒョンと、『プリースト 悪魔を葬る者』『サバハ』で観客を魅了してきた鬼才チャン・ジェヒョンという、超豪華キャストとジャンル映画監督がタッグを組み、世界中を震撼させたサスペンス・スリラーが遂に日本上陸!
本日11月9日(土)に角川シネマ有楽町にて、日韓の映画を中心に映画の魅力を、文化や社会的背景を交えながら伝える仕事に取り組んでいる映画研究者の崔盛旭(チェ・ソンウク)さん、書籍、劇場用パンフレット、DVD・Blu-rayのブックレット等を中心に執筆されているライター・編集者の岡本敦史さんが登壇するネタバレ全開トークショーを実施致しました。
※ネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)を含みますので、未見の方はご注意下さい
まずは本作について、崔盛旭さんは「シンプルに面白かったです。そこからもう一歩踏み込むと、やはり、日韓の歴史が顔を覗かせている」と分析し、「(韓国側の)歴史的なトラウマがどれくらい大きいのかを感じましたし、きっとこの映画は、韓国人の心に刺さっているトラウマを取り除く“お祓い”のような映画」だと、空前の大ヒットを記録する理由を考察した。
韓国内のレビューサイトにもさまざまな声が寄せられているといい、「いろいろな仕掛けがあるので、何度も見るリピーターも多いようです。例えば、日韓の歴史を想起させる番号が書かれた車のナンバープレートをこの目でもう1度確認したいとかですね。韓国の映画ファンが、それぞれいろんな心境で見ていることが分かる。」と、崔盛旭さんは歴史的背景もヒットの要因だと語っていた。
物語の重要な要素となるのが、日本軍が韓国の風水的な名所に、国の覇気を奪う目的で“鉄杭”を打ち込んだという「鉄杭事件」だ。崔盛旭さんは自身の幼少期の記憶と照らし合わせ「今思おうと、都市伝説というか、国をあげてのキャンペーンだった」とコメント。「ある場所で鉄杭が見つかれば、それを取り除き『大韓民国万歳』と喜ぶ人たちの姿が普通にニュースで流れていた。でも、捏造もかなりあって、そこで巫堂(ムーダン)が大活躍したわけです。実際、土地の測量をするために、基準点として打ち込まれた鉄杭が『日本軍の悪行』として徴収されて、独立記念館に展示されたこともあったんです。今となっては、ばかばかしい騒ぎでしたが、それもまた鉄杭を通して、トラウマを蘇らせる目的があったのでは……」と解説した。
(2ページに続く)