「イベントレポ」映画『ボストン1947』カン・ジェギュ監督×都立西高等学校特別授業ディスカッション(独占)

参加された保護者の一人から「ベルリンオリンピックでこのような事があったということを全く知りませんでした。日本の観客に対してこの映画を通して特に伝えたいことは何ですか?」という質問に対し、ジェギュ監督は「映画を製作している時や韓国で公開した時に感じたことなのですが、特に若い世代の方たちはみんな未来のことには興味があるが、過去に対してはあまり興味を持っている人が少ない気がしました。過去を振り返ってみてこそ本当の未来があるし、その人の方向性も見えてくると思う。過去と現在、未来というのはバラバラではなく一つの軸になっているので、過去をきちんと見つめることで、これからのよりよい未来を切り開いていくことが出来るのだと思います。もし自分だったらという視点で観てもらうとまた違った感覚で観ることが出来ると思います。当時の韓国人は、国が無くなるということに直面していたんです」と語る。

卒業生で元陸上部だったという男性からは「この作品を観て、特に“人の想い”に感動しました。この先、どのような作品を撮りたいと考えられていますか?」という、イチ監督ファンからの質問に対して、ジェギュ監督は「私たちが生きている21世紀が普通じゃなくなってきている。例えば人々のエゴによってダメになっていく地球などを通して、我々の生活をどう変えていけばいいのかということを、広い視点で描きたいなと考えています」とコメント。

最期にウンキョンさんは、「私の個人の大切な価値観というのは、皆さんの様な学生時代に培われたものが多いんです。自分が大人になった時に今を振り返ってみると色んなことに気付けると思います。こういう映画を観て感じたことなどを大切にしてほしい」とアドバイスを送る。そしてジェギュ監督は「皆さんが持っている関心を広げていってほしい。友人から隣国、隣国から地球へなど。このままだと社会も個人も不幸になってしまう。関心がないと色んな誤解が生まれてしまい分かり合うことが出来ず紛争などが起こってしまう。皆さんが自分以外のことに関心を持ち広げていく。それが未来につながっていくと思います」とアドバイスを送り、学生たちも熱心にその話に耳を傾けQ&Aを締めくくった。

『ボストン1947』は8月30日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開。

<STORY> 「私たちが望むのは、祖国の国旗をつけて走ることです」

1936年、ベルリンオリンピック。マラソン競技に日本代表として出場した孫基禎は、世界新記録を樹立し金メダルに輝く。だが、表彰式で日本国歌が流れる間、月桂樹の鉢植えで胸元の国旗を隠したことが問題視され引退を強いられる。1946年、ソウル。祖国が日本から解放された後、荒れた生活を送っていたソン・ギジョン(孫基禎)の前に、ベルリンで共に走り銅メダルを獲得したナム・スンニョンが現れ、“第2のソン・ギジョン”と期待されるソ・ユンボクを、ボストンマラソンに出場させようと持ち掛ける。高額の保証金を始め数々の問題を乗り越えた3人は、1947年、ついに消された祖国の記録を取り戻すべく、ボストンに旅立つ。しかし、さらなる難題が彼らを待ち受けていた──。

監督・脚本:カン・ジェギュ 共同脚本:イ・ジョンファ 出演:ハ・ジョンウ、イム・シワン、ペ・ソンウ、キム・サンホ、パク・ウンビン

2023年/韓国/108分/スコープ/5.1ch/日本語字幕:根本理恵/G/原題:1947 보스톤/配給:ショウゲート 1947boston.jp/

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8/30より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

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2024.08.03