日本でMINHOがソロイベントを行なうのは、昨年の3月以来、1年2ヶ月ぶり。今年1月、韓国で行われた自身初のファンコンサートの日本公演となり、最新曲「Stay for a night」の初披露や、プライベート写真を使った近況報告なども行い、ドレスコードのデニムを身に付けた観客たちを楽しませた。
会場が暗転し、ステージ背面を覆う大きなスクリーンに映像が映し出される。MINHOの精悍な横顔や真っ直ぐな瞳のアップなどにシャヲル(ファンの愛称)の歓声が上がる中、最後、グランドピアノの前に座って鍵盤に指を置くMINHOの姿で終わると、なんとステージの中段に映像と同じようにグランドピアノの前に座るMINHOが登場。静かに「Chase」のイントロを奏でる。ピアノを弾くMINHOに、客席からは驚きと喜びの声が溢れ、その雰囲気のまま、ピアノの前を離れて今度はダンサーを従え、自身初アルバムのリード曲でもある「Chase」をパフォーマンス。サプライズな演出に思わず声を上げていたシャヲルだが、曲が始まれば正確に声を揃えてコールを入れ、1曲目からMINHOをしっかりとサポートしていく。続けて、2曲目「Runaway」。「みんな久しぶり、行きましょう!」というMINHOの呼びかけに、さらに声を大きくするシャヲル。ミディアムテンポのリズミカルな楽曲に合わせMINHOもウインクをして見せたり、満員の客席を見渡しながら笑顔を見せたりと楽しそうだ。
「皆さん、久しぶりです。会いたかったですか?本当に会いたかったですか?」と尋ね、返事となる大きな歓声を受けると、「僕も会いたかったです!」と満足そうな笑顔を見せるMINHO。日本でのソロイベントは今回で4回目、2022年からは、同じパシフィコ横浜で開催できていることに「毎年、この場所でファンの皆さんとお会いすることができて本当にうれしいです」と感謝を述べる。また“Multi-Chase”というタイトルは自ら考えたもので、「大切な単語です」という“Chase”は、自身の初のソロアルバムのタイトルであり、SHINeeのメンバーのソロアルバムのタイトルが『ACE』(TAEMIN)、『BASE』(JONGHYUN)、『FACE』(KEY)、『VOICE』(ONEW)と繋がれてきたことを説明。「僕が最後の『CHASE』」と口にすると、シャヲルからは温かい拍手が送られた。
SHINeeの最新アルバム『HARD』の中で、「一番好きな曲」と紹介した「Insomnia」のカバーは、「SHINeeバージョンじゃなくて、MINHOバージョンで」披露。MINHOがセンターポジションとなるダンスのフォーメーションはもちろんのこと、もともとのMINHOの低音ボイスが響くラップパートに加え、高音の歌メロパートなどもすべてMINHOが歌うというバージョンに、シャヲルたちは目も耳もステージに釘付けとなる。さらに感傷的なダンスナンバー「Heartbreak」と続けたMINHOの額には大粒の汗が光り、MCで「この公演のために本当にたくさん練習しました。夢の中でも(笑)」と話していたピアノ演奏から、MINHOらしい‟一曲入魂“のパフォーマンスを続けていく。映像を挟んで衣装を黒の革パンツにラメが入った深いブルーのジャケットという煌びやかなスタイルから、ブラウンを基調にしたカジュアルタイプのものへと着替えると、自身初のソロ曲「Iʼm Home」も歌唱。温かみのあるメロディを優しい声で届けながらMINHOは客席に向かって手を振り、シャヲルたちも曲のリズムに合わせて手を振って、会場に穏やかな空気が満ちた。
ここで一旦、長めのトークコーナーを行なう。ルーレットを回して出たテーマに添って近況を報告。3月に開催されたSHINeeの東京ドーム公演の裏側で撮られた写真と共に当時の思い出を振り返ると、5月24日(金)~26日(日)に、韓国でアンコールコンサートが行われることにも触れつつ「またドームで会いましょう、皆さん。次はSHINee全員で」と誓った。他にも、香港やイタリアなど、海外での仕事の合間に撮影した写真や、MVや今回のコンサートのために撮影された映像のオフショット、父親が監督を務めるサッカーチームの試合を観戦に行った際の動画なども公開し、恥ずかしがりながらも「シャヲルにだけ、全部見せることができます」という素の姿を見せてくれた。
「僕が本当に好きな歌詞の曲」と紹介した「Falling Free」は、MINHOの日本で初となるソロ曲。サビ前で美しいファルセットも響かせながら、日本語の歌詞を丁寧に紡いでいく。そして「Waterfall」でMINHOは、「一人ではなく、皆さんと一緒に歌いたいと思います」と言い、フィーチャリングに迎えたLIM KIMのパートをシャヲルにお願い。スローナンバーではあるものの高音のフレーズも多く、正直、歌詞を見ながらでも、その場で急に歌えるような曲ではない。だが、シャヲルは美しい歌声を披露し、MINHOとの極上のハーモニーを完成させる。曲が終わると自然と拍手が起こり、MINHOは「さすがシャヲル。声がきれいですね。ありがとうございます。シャヲルとMINHOのデュエットでした」とにっこり。会場に入った時、ほぼ全員がドレスコードの‟ジーンズ“を身に付けていたことにも驚いたが、歌もしっかりと事前に練習を重ねてきたことが伺え、シャヲルとMINHOとの絆の深さを感じた。
(2ページに続く)