著者のペク・ヒナさんは「絵本界のノーベル賞」と言われる、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞を2020年に受賞するなど、世界で高い評価を得る絵本作家です。本書は、2014年に韓国で刊行された作品で、カエルのお兄ちゃんとオタマジャクシのきょうだいの「家族の愛」をテーマに制作されました。仕事にでかけるおとなにかわって、きょうだいたちのめんどうをみる“にいちゃんカエル”の奮闘が描かれています。
ペク・ヒナさんの作品は、手作り人形の撮影手法が特徴的ですが、本書は遠近感と水辺のシズル感を出すため、アニメのアナログ制作のセル画を何層も重ねて撮影する新たな手法でつくられました。背景や池の手前に生える水草などの奥行が見事に表現され、水辺の湿度感まで伝わってきます。
翻訳は、これまでもペク・ヒナ作品を軽妙な関西弁で訳してきた長谷川義史さんが担当しました。長谷川さんならではの言葉の表現を、ぜひ声に出して楽しんでいただきたいです。
- 書誌情報
『ゆめのごちそう』
・著者:ペク・ヒナ 作/長谷川義史 訳
・発売日:2024年4月11日(木)
・定価:1,540円(税込)
・判型:210mm×217mm上製
・頁数:48ページ
・販売:全国の書店などで販売
・公式HP: https://www.bronze.co.jp/books/9784893097316/
- あらすじ
たくさんのきょうだいのめんどうをみて、へとへとになったにいちゃんカエル。その夜、ゆめのなかに、おおきなギンバエが現れて…!? みんなのにいちゃんカエル、大奮闘!
- 著者紹介
ペク・ヒナ 作
絵本作家。自称「人形いたずら作家」。1971年、ソウル生まれ。
韓国の梨花女子大学卒業後、カリフォルニア芸術大学でアニメーションを学ぶ。人形制作、緻密なセット作り、撮影までをひとりでこなし、独自のファンタジー世界を作り出す。『あめだま』(ブロンズ新社)で「第24回日本絵本賞」の翻訳絵本賞と読者賞をダブル受賞。
2020年に「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞※」を受賞し、世界的な絵本作家に。
※…アストリッド・リンドグレーン記念文学賞 (The Astrid Lindgren Memorial Award) は、児童文学、青少年向けの文学作品に与えられるスウェーデン政府の主催の文学賞。2002年にスウェーデンの児童文学作家アストリッド・リンドグレーンを記念して設けられた。この賞は毎年選考の末1人に与えられ、賞金は500万スウェーデン・クローナ、日本円で5,000万円を超える。“絵本界のノーベル賞”とも言われる。
長谷川 義史 訳
絵本作家。1961年、大阪府生まれ。グラフィックデザイナー、イラストレーターを経て、絵本デビュー。独特のタッチとユーモアあふれる作風で、あたたかな世界を描く。『ぼくがラーメンたべてるとき』(教育画劇)で「第13回日本絵本賞」、「第57回小学館児童出版文化賞」受賞。『へいわってすてきだね』(ブロンズ新社)で「第7回MOE絵本屋さん大賞」第1位。絵本の翻訳も多数手がける。
- ペク・ヒナ翻訳作品紹介(すべて長谷川義史訳、ブロンズ新社刊)
『天女銭湯』
2016年8月刊行/定価:1,540円(税込)
少女ドッチの通う、ふるーい銭湯。水風呂で遊んでいると、はごろもをなくした天女が、突然あらわれた!
『天女かあさん』
2017年8月刊行/定価:1,540円(税込)
大雨のある日。熱を出して早退したホホ。忙しいお母さんの助っ人にやってきたのは、なんと天女さま!?
『あめだま』
2018年8月刊/定価:1,650円(税込)
心の声がきこえる不思議なあめだまと、少年ドンドンの成長の物語。
『ぼくは犬や』
2020年4月刊行/定価:1,540円(税込)
犬と人間の家族の、泣き笑いの物語。『あめだま』のグスリとドンドン、ちいさい頃のおはなし。
『お月さんのシャーベット』
2021年6月刊行/定価:1,540円(税込)
真夏の夜のこと。えらいこっちゃ、お月さん、とけてはるがな。夏の夜のひんやりあま~いファンタジー。
『ピヤキのママ』
2022年5月刊行/定価:1,540円(税込)
だいこうぶつからうまれたのは、愛だった!ねことひよこの愛の物語。